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KATSUYA SUSUKI GALLERYにて、宮山香和と寺本明志による2人展「隣り合わせ」が3月5日(土)から3月27日(日)まで、開催されます。
宮山香和の描く対象との間の空気感と、寺本明志の描く対象同士の関係性。そこにはその対象の本質を描くというよりも、その瞬間のシーンとしての本質を描くという共通点が感じられます。しかしながら一方で、宮山の作品からは「何かが起こりそう」という期待と不安が入り混じった予感、または何かが起こった後の過ぎ去った喪失感のようなものを感じさせ、クールな空間表現や描写でありながら様々な感情を孕み、寺本の作品は何かが起きているという現在進行形の瞬間という事実を捉え、感情的な筆致で描きながらも、物と物の関係性は起きている事を事実として、そこに感情の介在する余地を感じさせず、2人の作家の作品にはその瞬間の時間軸を境に、対極とも言える相違点とともに、それぞれに矛盾的表現を内包しています。
共通する軸がありながらも、理論的に交わることは不可能に思える2人の作家の作品が「隣り合わせ」になった時、果たしてどのような見え方をするのでしょうか。
この機会に、是非ご高覧ください。
【作家ステートメント】
人やモノの間にある関係性やそこから発生する感情は私たちの生活を取り巻いているが、決して目には見えない。
私はこの漠然とした存在を絵画として結晶化させるような感覚で制作を行っている。
隣り合わせの人・モノが響き合って生まれるそこにしかない空気。
それはともすれば静謐な世界で息を潜める緩やかな狂気に変化し、「何かが起こりそう」という予感を漂わせる。
個人的な生活から着想を得て、日常から切り離された一瞬を捉える。
その矛盾を通して、普遍的な情動の深層を垣間見たい。
宮山香和
ものや人が並んだ時、対等な関係が自然である場所Patioを日々描いている。そこでは、土のついたスコップが室内にあることや、屋外に絵画が飾られることに違和感はなく、受け入れられるのだ。
そこに置かれたもの(または人)が起こす事象や既に起きたハプニングによって、対等に存在する隣り合わせのものがつながり、次の動きへと絵画の中で連なって展開していく。それは穴があるから橋を渡し、通るような自然な物事のつながりである。
アトリエに私がいる時、常に隣りでは予期しない出来事が起き続けていて、それを一つ一つ受け止めながら、絵を描いている。
寺本明志