光のスペクトルにおいて、赤の長い波長がまっすぐ進むのに対し、青の短い波長は四方に拡散し、空間のなかに溶け込んでゆきます。手につかむことのできない空や水に象徴されるように、青はその深みにおいて認識される色であり、それゆえに古代より人々の憧憬の念を掻き立ててきました。地上に目を移しても、青い色をした自然物は非常にめずらしく、ラピスラズリは洋の東西を超えて珍重されてきました。また、かつて映画監督のデレク・ジャーマンが「ブルーは目に見える闇の色」と語ったように、青は光と闇、生と死のあわいに現れる色でもあります。そして人々が内省へと向かう今にあって、青は私たちの心にもっとも浸透する色と言えるかもしれません。本展覧会では、金沢21世紀美術館のコレクションを中心に、絵画、彫刻、工芸、映像といったジャンルを横断しながら、国内外のさまざまな文化圏の作家による多様な青の表現を紹介します。また、金沢21世紀美術館の恒久展示作品であるレアンドロ・エルリッヒの《スイミング・プール》やジェームズ・タレルの《ブルー・プラネット・スカイ》、アニッシュ・カプーアの《L’Origine du monde(世界の起源)》にも新たな光を当てることになるでしょう。そして、招へい作家として、青い色彩と光が印象的なドローイング・アニメーションを制作してきた画家/映像作家の石田尚志の作品も展示します。それぞれの作家が織りなす青の世界を、ぜひ体感してください。
＜展覧会の特徴＞ 「青」に着目し、多様な青の表現を紹介する展覧会
現代美術における「青」という色彩に着目し、金沢21世紀美術館のコレクションを中心に多様な青の表現をご紹介します。異なる国や地域を拠点とし、絵画、彫刻、写真、映像、ガラス、インスタレーションといったさまざまなメディアを用いて制作する国内外の現代作家15名による青の世界をご体感ください。本展では金沢21世紀美術館の恒久展示作品のレアンドロ・エルリッヒ《スイミング・プール》、ジェームズ・タレル《ブルー・プラネット・スカイ》、アニッシュ・カプーア《L’Origine du monde(世界の起源)》を青の表現として取り上げ、おなじみの作品にも新たな気づきをもたらします。
＜関連イベント＞
金沢の和菓子の名店「吉はし菓子所」と金沢21世紀美術館にある人気カフェレストラン"Fusion21"がBLUE展をテーマにそれぞれコラボレーション企画を実施します。本展出品作の塚田美登里《Wax and Wane》、福本潮子《霞の幔幕》などをイメージした「吉はし」の上生菓子とBLUEから着想を得た"Fusion21"のドリンクセットを、金沢21世紀美術館カフェレストラン"Fusion21"にてお楽しみいただけます。
※詳細は金沢21世紀美術館ウェブサイト、SNSにてお知らせいたします。
ローズマリー・ラング《フライト・リサーチ #5》1999 © Rosemary LAING
