イベント紹介Event Information
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photographers’ galleryにて、王子直紀写真展「吐噶喇・川崎」が10月3日(日)から16 日(土)まで開催されます。
本展では、鹿児島県吐噶喇(トカラ)列島と神奈川県川崎市にて撮影された作品を展示いたします。吐噶喇列島は、九州と奄美・沖縄に挟まれるかたちで点在する有人7島と無人5島の島々で構成されています。終戦後に北緯30度線が国境線となり列島が分断されたのち、1952年に本土復帰を果たしています。2016年には領海保全を目的とした有人国境離島法が成立するなど、個々の暮らしがいまもなお政治情勢に左右され続けている場所でもあります。王子は2007年に初めて吐噶喇列島を訪れ、それ以来、この島々での撮影と発表を続けてきました。そして、川崎市は王子が活動の最初期から現在に至るまで長年にわたって撮影を続けてきた場所です。
王子はこれまで厖大な量のスナップショットを撮り続けることで、川崎と吐噶喇列島という場所に関わってきました。それぞれの場所をあからさまに象徴するようなものが写されることはなく、人間や動植物、看板や建物などがてらいなく真正面から捉えられていたり、ブレやボケをともなって写されています。それらの写真は、どこか馬鹿馬鹿しさや滑稽さ、ときには寂しさや機知を感じさせると同時に、その場所に触れさせられたような感覚を与えることもあります。王子にとってスナップショットは、川崎・吐噶喇という場所を、象徴的ではないものを大量に撮るなかで立ち現そうとする試みなのです。
また、2020年3月より小冊子シリーズとして『吐噶喇』、『川崎』の刊行を始めています。本展に併せ第3号を刊行予定です。ぜひ、ご高覧ください。
展示内容/インクジェットプリント約20点
◎新刊のご案内【10月3日発売予定】
『吐噶喇3』A5判変形/カラー32頁/900円+税『川崎3』A5判変形/モノクロ32頁/900円+税発行:KULA発売:photographers’gallery