イベント紹介Event Information
※新型コロナウイルス感染拡大による社会情勢に伴い、美術館およびギャラリー施設において休廊、休館、もしくは会期の変更をしている場合がございます。詳しくは、各施設サイトをご確認いただきますようお願い申し上げます。
DOGOにて、楠田雄大個展『坊主』が11月21日(日)から12月12日(日)までの期間、開催されます。
楠田は2000年生まれ、広島県出身。現在、東京藝術大学美術学部先端芸術表現科に在籍しています。 本展では、絵画とその制作の延長線上で生まれたダンボール・粘土・ガムテープなどのチープな素材を用いたインスタレーションによって、共同体における秩序と、それになんらかの理由で違反し「異形」とされた存在の意義にアプローチし、両者の軋轢をめぐる考察から身体や共同体、ジェンダーなどさまざまな秩序の再構築を試みます。
楠田はしばしば作家としての自らを、子供じみた自己完結型であるゆえに徹底的で、かつチープな表現になってしまうとなかば批判的に語ります。そしてそれは、作家の言葉を借りれば 「極めて日本的な」態度であると言えるでしょう。 かつて美術評論家のカトリーヌ・ミレーが論考『私たちの夢見たラディカリズム』にて、日本の戦後アヴァンギャルドに見られる身体回帰的かつ徹底的な表現傾向を指して「帰還不可能な地点」と評したことは知られていますが、ミレーは文中「このような個人主義の意識は、結局、個人を直ちにマクロコスモスのうちに置き直すという結果に帰着する」とも指摘しています。しかしながら今日、国家から身体に至るまであらゆる既存の秩序の存在はもはや自明のものとは言い難く、ミレーの指摘したような態度は回帰する先を失っていると言えます。その中で、秩序のメカニズムを紐解き、そのグロテスクさを引き受けつつ、挫折ののちにもう一度 「異形の秩序」を生み出そうとする楠田の態度は、ある意味で日本の戦後アヴァンギャルド以降の流れにおけるひとつの総決算と呼ぶことができるものではないでしょうか。
楠田にとって初めての個展となる本展を、ぜひご高覧いただければ幸いです。
作家からのコメント
自分にとって表現することとは何か、それは現実との軋轢との中でいかにその身体の状態を写しとるかに集約されます。そしてその結果出来上がった作品はこれからの私たちの心理状態を映し出す鏡になるのではないかと考えます。
展覧会関連イベント
オープニングパーティ:11月21日 ( 日 )18:00 〜
( 緊急事態宣言発令中の場合は開催中止。)
楠田雄大×生須芳英×荒川弘憲 座談会『多様性と秩序について』:12 月 12 日 ( 日 )19:00 ~ ( 予約制、定員に達し次第締め切り。詳しくは公式サイトをご参照ください。)