イベント紹介Event Information
※新型コロナウイルス感染拡大による社会情勢に伴い、美術館およびギャラリー施設において休廊、休館、もしくは会期の変更をしている場合がございます。詳しくは、各施設サイトをご確認いただきますようお願い申し上げます。
photographers’ galleryにて、松井正子写真展「Winter WanderingsI-South Korea,1981/82-」が2022年6月6日(月) から6月19日(日)まで開催されます。
松井正子は1970年代より、異なる政治・宗教・文化の中に存在する共通の情緒を掬い取りたいと、ポルトガルとそのかつての植民地をはじめ、海外で撮影した写真を発表してきました。本展では、1981年/1982年の「韓国冬の旅」で撮影された未発表の写真を展示します。
「初めて訪問した韓国は、1979年朴正煕大統領暗殺事件、1980年光州事件の後でそれらの事件の影が色濃く残る時期であった。訪韓には査証が必要であり、当時の日本からの観光客はほぼ男性であった。ソウルでは、劇場の開演前や毎夕方街中に愛国歌が流れ、全ての人々は直立不動になった。夜12時から朝4時まで一切の夜間外出は禁止されていた。男女の区別のつかない長髪の取り締まりも行われていた。若者の多くは、迷彩服や学生服を着ていた。軍事休戦中の国であることを意識させられる重い冬の旅であったが、写真の中の韓国には予想に反して長閑な空気が漂っていた。最近の硬直化した印象の韓国とは異なった素朴な姿が写っていた。旅で見ることのできるものは、その場所のある一瞬であろう。いつも街は、生き物のように同じ場所でも時代、季節、曜日、時間帯等により全く異なった姿をみせる。そして時折その中に普遍を垣間見せることがある。人間の予想を超える出来事が次々と起こってくる不安定な今、かつて旅した国のある一瞬を展示することに意味があるのかと自問しながらも、消えていった何でもないその時、その場の日常の一瞬を写真により存在させたいと考えた。撮影地:ソウル・慶州・釜山・済州・木浦・光州・全州・水原。」(松井正子)
是非、これらの展示をご高覧ください。
展示内容/インクジェットプリント、モノクロ、約22点