イベント紹介Event Information
中沢研は1970年東京都生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻を修了。主な展覧会に「MOTアニュアル1999 ひそやかなラディカリズム」(東京都現代美術館)、「横浜トリエンナーレ2001」(パシフィコ横浜)などがあります。針金やテグスなど視覚的ヴォリュームが希薄な素材を用い、展示空間に呼応したインスタレーションを制作する作家として国内外で高い評価を得ています。
本展では「立つ」と題された新作インスタレーションを発表いたします。本作は、直径3mmの鉄材と約10cm四方の木片を用いた高さ140cmほどのオブジェが50体、ギャラリー空間全体に配置されています。中沢特有のコの字型の鉄材は、白く塗られた木片に固定することによって自立しており、よく見ると鉄材の足元もまた5cmほど白く塗装されています。僅かに歪みながら、ひそやかに佇むオブジェは、人体を想起させる一つの彫刻作品のようでもあります。これらが50体置かれることによって空間の質は変容し、インスタレーション作品として成立しています。また、中沢のこれまでの作品は、オブジェの配置の仕方にゆるやかな規則性があったのですが、今回は線の重なりや角度を頭の中でイメージして絵を描くようにランダムに配置していきました。
空間を回遊しながら、観者の意識は彫刻とインスタレーションの間を行き来します。視線をどこにフォーカスするか、その意識によって見えるものが変わり、風景が変わっていきます。それはあなたにしか見えない風景でもあるのです。中沢研による待望の新作をどうぞご高覧ください。