イベント紹介Event Information
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GALLERY TARGETにて、アーティスト矢入幸一の個展「SCENE」が6月24日(金)から7月9日(土)まで開催されます。
矢入は主にモノクロでオールドカートゥーンスタイルのペインティングを描くアーティストですが、作品はその表層的な印象に収まらないの独自の世界観を持ち合わせています。
レトロな雰囲気と可愛らしいキャラクターという目に飛び込んでくる要素の奥には、彼が美大で身につけた視覚伝達デザインの技術と計算された作品構成要素が隠れています。
矢入はそれぞれのモチーフの立体性を強調せず、いくつかの平面的なレイヤーを重ねて1つの画面を構成しています。そしてスプレー、アクリル絵の具、プリンター出力などのデジタルとアナログを織り交ぜたテクスチャーの異なった複数のメディアを用い、典型的なオールドカートゥーンスタイルからその先の自身の表現へと足を踏み入れています。
画面の中でワンポイントで使われるカラーにおいても、その印象を変化させる1つの要因として重要な役割を果たしています。
このように手法自体は非常にシンプルであるにもかかわらず、そこから生み出される僅かな差異によって見る者の感覚、作品の印象や時代感を変えてしまう画面を作り出しています。
矢入は一貫してこれまでの作品においてもカートゥーンの1シーンを描いたような作品によってその前後関係や流れを想像させるモーメントを描いてきましたが、本展の作品では、現代社会に溢れる情報のような断片的で細切れにされたシーンを描き出し、私たちにそのシーンにまつわる様々なストーリーを想像させてくれます。
オールドカートゥーンにインスパイアされたスタイルで描かれる現代社会への問題意識。
皆さまの様々な解釈で楽しんで頂ければ幸いです。