戦後、 1 9 4 0 年代後半から 6 0 年代にかけての抽象表現主義の影響から、それと競う形で井上有一や森田子龍、比田井南谷を中心とした「前衛書道」の運動が、その当時盛り上がりました。時は過ぎ、その約半世紀後の 2 0 1 7 年に、ユミコチバアソシエイツの主催で「現代アート書道の世界」(キュレーション・山本尚志)が、新宿高島屋 他 2 会場で催され、そこからハシグチリンタロウ、日野公彦、宮村弦ら、本展に登場するアーティストが注目され始めます。そして今年 4 月、比田井南谷や宇野雪村など、数多くの前衛書家の企画展を行ってこられた、書に造詣の深い老舗ギャラリー、「東京画廊+ B T A P (代表・山本豊津氏)」にて、グループ展「書をアートへ」が行われたのは、まだ記憶に新しいところです。本展にも登場する A y a k o S o m e y a がメインビジュアルとなり、W E B 版美術手帖でも紹介されるなど、大きな話題となりました。このようにコロナ禍ではありますが、「書を現代アートとして考えていく」環境が整っていく中、本展示では、世界的な美術コレクターであり、横浜美術大学学長の宮津大輔氏にも文章をいただくこととなり、さらに身の引き締まる思いです。私の地元である広島の方々、そして長年広島のアートを牽引して来られた、福屋八丁堀本店美術画廊のご協力のもと、国内最新の現代アートとして、書家 9 名の展覧会をご紹介させていただくことを、心より感謝申し上げます。