イベント紹介Event Information
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COHJU contemporary art にて、高橋知裕個展「animism」が11月5日から11月26日まで開催されます。
高橋知裕は、ぬいぐるみ等の子供向け玩具を主なモチーフとしたコラージュ技法を思わせる絵画作品を制作しています。主題のぬいぐるみや、紙とテープで切り貼りしたかのように見える背景は、あたかもそこに実在するかのように写実的かつ物理的な立体感をもって忠実に描かれる一方、それとは対照的に脱力感に溢れた子供の落書きのような線描や、平面的な印象を与える色使いも併置された画面構成となっています。それぞれに異なる要素の均衡が保たれるように描かれることにより、画面の中のぬいぐるみがより生き生きと命が宿ったような独特な印象を放ちます。
モチーフとして度々登場する生物を模した形をした「ぬいぐるみ」は、生命を持たず言葉を発さないがゆえに、却って豊かな包容力で自分自身を見守ってくれる大切な家族や友達のような存在だと高橋は言います。本展覧会のタイトルとなった「アニミズム」は、高橋にとってのぬいぐるみの存在が、万物に魂が宿るとするアニミズムの概念に通ずるという考えが由来します。作品を描くことを通してモチーフであるぬいぐるみと対話し、画面の中に理想像を描くことで、鑑賞者にとってもまた心に寄り添う作品を描くことを追求しています。
2021年3月に大学院修士課程終了後初の個展となる本展では、全て新作の絵画作品10点余を展示いたします。これまで参加した企画展では作品の完売が続いている注目の若手作家による作品が一堂に会する貴重な機会となりますので、是非ご高覧いただければ幸いです。
STATEMENT ー高橋知裕
小さい頃、「お米一粒には7人の神様がいるから残さずに食べなさい」、「道具を大切に扱わないとバチが当たるよ」と良く指摘された。思えばそれはあらゆるものに魂が宿っているというアニミズム的思考からくるもので、日本ではこういった概念や世界観が様々な文化的背景に見られる。私は特に「ぬいぐるみ」に対して昔から特別な感情を抱いていて、物心がついてから現在に至るまで、強い思い入れを持って接し、愛情を注いできたが、これもまたアニミズムの思考に通じたものなのだろう。
全てのものに霊魂が宿るという考え方は、相手に対する差別的な意識や争い事を緩和させ、より小さな単位で相手の個性を尊重することに繋がると私は考える。自身にとって思い入れの深い「ぬいぐるみ」を描くことで、鑑賞する人々にもまた作品に宿る何かを感じてほしい。