イベント紹介Event Information
野田裕示(のだ・ひろじ)は多摩美術大学絵画科油画専攻卒業の翌年(1977年)、当時現代美術の先駆的画廊であった南画廊(東京)で初めての個展を行い、そのダイナミックな作品は注目を集めました。その後も国内外の美術館、画廊で発表を続け、2001年には芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。また石彫の岡本敦生とのコラボレーション作品が現代日本彫刻展(2005年)で毎日新聞社賞を受賞するなど、立体と平面による新しい展開も見せています。2012年には国立新美術館(東京)で大規模な回顧展が開催され、以降も精力的に発表を続けています。
野田は一貫して、支持体と絵画表現のあり様をテーマに制作に取り組んできました。80年代初めの箱に入ったレリーフ状の支持体は、徐々に全体を麻の袋で覆った形状に変化し、さらにカンヴァスを幾重にも重ね、人体のようなフォルムが現れたり、一転して白のフラットな画面に自由な形を描いたりと様々な変容を見せています。近年は、初期に見られた箱型の支持体に木と麻布を組み合わせ、2、3分割された画面のしわのようなマチエールや、形や色彩の組み合わせで新たな表現を提示してきました。
さらに野田は一昨年より同一サイズ(62.8×47.7cm)による100点の制作を開始。同じ考え方、同じ技法による100点という物量によって、10~20点の展開では見ることができない新たな景色が見えるのではないか、それを見てみたいという思いから制作が始まりました。今回の展覧会はザ・ギンザ スペース(56点)、ギャルリー東京ユマニテ(44点)の2会場にて全100点を発表します。雰囲気の違うふたつの空間でそれぞれにお楽しみいただければと思います。是非ご高覧ください。