イベント紹介Event Information
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KATSUYA SUSUKI GALLERYてにて、藤川さき個展 「息をするとは」が2022年6月11日(土)から7月3日(日) まで、開催されます。
日々の身の回りに起こる出来事や、際限なく寄せてくる情報などから沸き起こる、ポジティブと ネガティブが混合した複雑な感情をキャンバスに表現する藤川さきは、より大胆でエモーショナ ルな筆致に磨きがかかり、日々変化を続けています。 そして現在、世界的に起きている価値観や環境の変化は、藤川にどれ程深く大きな影響を与え、 そして作品に投影されているのか、是非その変化の深度を感じて下さい。
【Statement】
二つ目の世界が生まれ始めている。 体の呪縛も資源の呪縛も抜けて、人は初めて0から選択可能な人生を手にしかけている。ように見 える。
私たちにはどうやっても体がある。体があるから私たちがある。 代謝は、すればするほど老いに向かう。 無限の世界へのスイッチは、こちらの私が持っている。 有限の体と、あらかじめ与えられた設定で。
二つ目の美しい現実が目の前に作れたとしても、どうしてもこの部屋に佇む絵の具への愛情は捨 てられない。
今はまだ、このツールだけは代替できない。
世の中がソフトに向かうほど、私だけが一人でハードになっている気がする。 今日も絵の具を捏ねている。考えれば考えるほど、矛盾の中を往復している。 私もあちらの世界をもう少し知ってみたい。失敗しても良いんだし、そもそも端から否定したく ない。
枯れていく体も、無限に作れる名前も、やっぱり全てあなただと思っている。
32歳になる。不健康な生活が祟ってそろそろ何か起きるんじゃないかと、突然早起きして弁当を 作ってみたりしている。目の前にはどこまでも生活がある。
逃れられない世界と、その体で作る無限の世界と、受け入れられる部分と、まだよくわからない 部分と、博識な部分と悲しいほどに無知な部分。 全部を混ぜて、何故か今日もみんなが使い古した絵の具を使って描いている。 結局のところ、好き以外の理由なんて無いんだろうと自覚している。 今は、あいだの時間にいる気がしている。 いずれ忘れてしまう葛藤を、私と世界の蠢きを、わざわざこうして描いている。
そんな曖昧なものたちとの旅の中で、今ここで、あなたに出逢っている。