イベント紹介Event Information
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3331Galleryにて、3331 ART FAIR レコメンドアーティスト特別企画として、石場文子による個展「不在(ない)と存在(ある)」が9月17日(金)より開催されます。
石場文子は、日常の風景の中にあるありふれた日用品にささやかな手作業を加えて撮影することで、見る者の視覚にだまし絵的な印象を与える作品を作り出します。「真を写す」と訳された「写真」というメディアを通じて、敢えて現実の世界に少しばかりの操作を加え、真偽が定まらない風景を描く石場の作品は、そこに存在(ある)するものと、不在(ない)ものの関係性をも浮かび上がらせていきます。
本展では、これまで石場が制作していた被写体に輪郭線を描く手法から一歩進み、主に印刷技術の中で「白」を「無」として捉える現象に着目し、そこに在るはずなのに無い。無いのに在る。というパラドックスから生じる哲学的な命題に、新たな手法で取り組んでいきます。デジタル技術が発展し、ボタンを押すだけで思い通りに加工された画像が得られる今の時代に、敢えてアナログな手法で果敢に二次元(平面)と三次元(立体/遠近法)の世界に挑戦する石場の作品は、見る者の認識を心地よく揺さぶる経験となることでしょう。
アーティストステートメント
道端に落ちている何かを見てドキッとした経験はないでしょうか。そして、それが手袋だとわかった瞬間、私は安堵します。落ちている何かも手袋も存在は変わらない同じものなのに、私の認識の違い一つで世界の見え方は大きく異なります。
誰かがこうだと決め付けたことに対し、私はもう一つの道を提示します。違う見方を提示したい、世界を広げたい。作品を通して鑑賞者それぞれの見方やちょっとした認識のズレを問います。
「目に見えるものは、いつも目に見える別のものを隠している。しかし目に見えるものは何も隠していない。」(ある画家の言葉の一部を抜粋)
今回はこの言葉をヒントに、目に見えるものと見えないけれど確かに在る、もしくは在ったものを改めて見つめ直します。
ー石場文子