イベント紹介Event Information
※新型コロナウイルス感染拡大による社会情勢に伴い、美術館およびギャラリー施設において休廊、休館、もしくは会期の変更をしている場合がございます。詳しくは、各施設サイトをご確認いただきますようお願い申し上げます。
Yutaka Kikutake Galleryにて、橋爪悠也の個展「eyewater -everybody feels the same-」が8月20日(土)から9月17日(土)まで開催されます。
ギャラリーにて2回目の個展となる本展では、新作のペインティング作品7点を発表予定です。
※9月16日(金)と9月17日(土)は、ヘンナーベンダーのみの展示となります。
橋爪悠也が初期より一貫して取り組み、その表現を深めてきた作品シリーズが ”eyewater” です。単色で彩られた地を背景に、一粒の涙が目から零れ落ちる瞬間にある肖像を描いた本シリーズ。描かれた人物はなぜ涙を流しているのでしょうか?
日本が第二次世界大戦からの復興を経て高度経済成長期を迎え、日々の暮らしが成熟していく過程では、さらに未来はいったいどういう姿であるのかが様々な方法で想像、検証されていました。橋爪悠也は、その頃に描かれたマンガの描写方法やそのストーリーが想像した未来の在り方を参照しながら、未来が技術的にも以前より見通しやすくなった現代において、果たして誰も想像できないような未来は存在しているのか、あるとしたら、そこにはどのようなストーリーがありえるのかを、涙を湛えた人物像を通じて問うてきました。
今回展示される新作たちは、生命、争い、平和、自然環境などをテーマに、今この時代において語り合わねばならないことをこれまでになく直接的に提示しています。少し横を向いた構図で描かれることが主だった”eyewater”も、この新作では、人物は正面を向き、鑑賞者と向き合う構図を取っています。そして、そうした明瞭さと並ぶようにサブタイトルには”everybody feels the same”(みんな同じことを感じている)と付されていますが、ここで「同じ」とはいったい何を意味しているのでしょうか? 多様な価値観の在り方が俎上に載せられ続ける現代は、絶えず”理想的な状況”から逸脱していくように変化しますが、そのなかで個々人の感情や思いはどのようにあり、人はいったいなにを、どこまで感じ取ることができるのか、作家は本作を通じて鑑賞者に問いを投げかけているようです。