イベント紹介Event Information
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YOD Galleryにて、松尾栄太郎個展『HAZAMA - 浮遊する残存 - 』が2月15日(土)から3月5日(土)まで開催されます。
松尾は1977年、長崎県生まれ。京都造形大学彫刻科在学中に現代美術作家の井田照一に出会い、井田が亡くなるまでの10年ほど師事する。主な素材として焼いた紙を使用し、版画技法を活かしながら、多様な表現を生み出している。
本展のタイトルでもある、”HAZAMA”とは、松尾が長年にわたり制作してきた作品群を指す。過去と現在の集積物である紙を燃やしたり重ね合わせたりすることで、『見えなくなるもの』と、それと同時に、『見えてくるもの』の狭間には、抽象化された時間軸が浮かび上がってくる。
様々な媒体の中に存在する文字が重なり合うことで深まる言葉の意味や、可視化された『見えていなかったもの』によって、鑑賞者の想像力は、掻き立てられるだろう。
―作家ステイトメント
記憶として存在するモノと、この世に存在するモノの間にある景色は、抽象的な色や形をしている。
紙は、想像した抽象的なイメージを、具体的に視覚に止めるための道具であり、言葉も同じように文字として、視覚化することができる。
紙は、火を着けると煙を上げて燃えてしまう。途中で火を消すと燃え残った紙と煙になってしまった紙の間には、炭化した焦げ目が姿を現す。
物質として、視覚的に最後に確認できる煙は、固体として止めることはできないため、焦げ目が固体として視覚に残る最後の物質として捉えている。私は、この焦げ目が、儚さや力強さの両極端な性質を持ち合わせた素材だと感じている。
これまで約10年あまり作り続けてきたHAZAMAシリーズは、現代社会において、不要となってきた本、雑誌、辞書など紙媒体の物を素材に色彩と交えて下地を作り、燃やした紙を表面に、コラージュした作品構成となっている。