イベント紹介Event Information
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KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHYにて、2021年7月10日(土)より、戸田沙也加個展『海を越えて、あるいは夜の向こうに』が開催されます。
戸田沙也加は1988年、埼玉県生まれ。女子美術大学大学院美術専攻洋画研究領域を2012年に修了し、美しさと表裏一体の醜美の世界観を絵筆に込める、稀代のペインターとして注目を集めてきました。今回、KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHYで行う初の展示では、写真作品のみで展示を構成し、アーティストとしての新境地を切り開きます。
新作として発表する 〈海を越えて、あるいは夜の向こうに〉 は、これまで習作的に撮り続けてきた薔薇の花のモチーフを起点に、今は日本に住まう友人や、夜の闇に咲き誇る熱帯植物などを撮影し、各々に異なる地から海を越えこの島国に根付いた者をひとつの世界観に束ねます。
本人が「異質性を持つ美の肖像画」と称する作品群は、光と闇の両面を鮮やかに取り込みながら、戸田の真髄である美しさと醜さという相反する世界観への追求を内包し、鑑賞者をイメージの向こう側へと引き込んでゆきます。
当廊で初めての展覧会、そしてペインターとしてキャリアを重ねてきた戸田が初めて写真作品のみで個展を構成する本展覧会を、是非お見逃しなくご高覧頂けますと幸いです。
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「海を越えて、あるいは夜の向こうに」
夜中に東京近郊の街を巡り、
目に留まった花々や熱帯植物をフラッシュやライトを用いてスナップ撮影する。
絵画を構成する要素をひとつひとつ採集しイメージを可視化させるアクション。
花を撮る行為は感覚的思考を誘発するドローイングである。
すべての輪郭が溶解する夜の中に密やかに佇む、
異なる地から海を越えてこの島国に根付き自生しているものたち、
「薔薇」「移民」「熱帯植物」に光を当て、瞬間の中に凝縮する。
線、形、質量が強調された対象の境界にイメージを見出し、
自己を介入させない一つの自立可能な異質性を持つ美の肖像画として表現する。
戸田沙也加