イベント紹介Event Information
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hpgrp GALLERY TOKYOにて、秋田を拠点に活動する尾花賢一の新作展「隣人たち/Neighbors」が2022年1月12日(水)から2月12日(土)まで開催されます。
作品の制作や発表について、どのような場所で展示するかということが制作の重要なモチベーションになっていると語る尾花は、展示に関わる場所について入念にリサーチし、歴史や地域性などを作品に反映させてきました。今回の個展開催地であるhpgrp GALLERY TOKYOが所在する東京・青山は、国内外の様々な場所から多くの人々が日常的に集まる「交差点」のようなイメージが強く、新作シリーズはその流動性や多様性を意識して制作されました。
尾花は、劇画的、漫画的な手法で描かれるモノクロのドローイング作品や、カラフルな木彫作品で、どことなくコミカルでありながらもミステリアスな覆面男を多く制作しています。具体的な背景やストーリーが提示されないそれらの作品は、鑑賞者が自らを重ねて物語の続きを想像することを前提としています。
マスクが完全に生活の一部となった今、鑑賞者と覆面男の日常が東京・青山でどのように交差するのでしょうか。
昨年はVOCA展2021大賞を受賞し、評価も高まりつつある尾花賢一の新作展、ぜひこの機会にご高覧くださいますようお願い申し上げます。
Artist comment
長年マスクを被った人物像をモチーフに制作してきましたが、まさか現実社会がマスクだらけになるとは・・・。
『覆面男』と名付けた人物たちは、端役のような存在です。スポットライトは当たらないけれど、それでも淡々と日々の生活を営む覆面男たち。一見不穏でありながら、穏やかに仲間と笑ったり、やりきれない思いに泣いたり、どうしようもない事に怒ったり。表舞台に立つような華やかな存在ではないけれど、不器用で愚直な彼らの生き方は大きな魅力に溢れています。うまくいかない日もあるけれど、それでも自分なりの幸せと充実感を求めて生きている。自分自身を投影しつつ、覆面男を通してそんな瞬間を表現したいと考えています。
ここ数年で出会った人の中には素顔を知らない人たちも増えてきました。そんなマスクの奥にある日常を思い描きながら、制作したのが今回の作品です。
− 尾花 賢一