※新型コロナウイルス感染拡大による社会情勢に伴い、美術館およびギャラリー施設において休廊、休館、もしくは会期の変更をしている場合がございます。詳しくは、各施設サイトをご確認いただきますようお願い申し上げます。
KATSUYA SUSUKI GALLERYにて、大橋麻里子と中根航輔による2人展「体温の痕跡/移ろう箱」が2022年7月9日(土)から7月24日(日)まで開催されます。
大橋麻里子の描く線の重なりは自身の手の動きの痕跡を通して、時間のレイヤーを表現しています。 一方、中根航輔は平面に奥行きや広がりなどの物質性を持たせ、その構造と物質をモチーフとして、移ろいゆく時の流れと、そこ に内在する日本的な思想を絵画として視覚化していきます。 そんな2人の作品の関係性は、時間軸の縦軸と横軸と言えるでしょう。
今回の2人展「体温の痕跡/うつろう箱」では、身体の中から発せられる熱が、腕、指、そして筆を通して、温度のある筆跡とし て描かれる大橋の作品と、作家の外側にあり、即物的で低温な人工物が並ぶ風景の推移を描く中根の作品を通して、時間軸に加え 温度とビジュアルの対比によって、それぞれの個展とは違った空間を創り上げます。 初の顔合わせとなる大橋麻里子と中根航輔の作品が、同じ空間でどのように融合するのか、この機会に是非ご高覧下さい。
【作家ステートメント】
重なり合う線は、過去に自身の身体を通って描き残された運動のためのドローイングです。この一本一本が描かれた時間は目に見 えませんが確かに存在していて、それらを画面上に積み重ねることで時間という対象に実体を与え可視化する試みを行います。 フラットに見える画面には何層も塗り重ねられた絵の具の層が閉じ込められていて私たちの日常もこの薄い膜のように少しずつ積 み重なっていくもののように感じます。あらゆるものがデジタル化していく世の中において、自身の存在や今という時間について 意識を向けることは日々の生活に少しの変化と豊かさを与えるような気がします。
大橋麻里子
自然と関わりながら移ろい変容する構造物をモチーフに、曖昧な形となる幾何形態を用いて、目に見えない自然の精や時間を可視 化できないかと考えてきました。制作においては、画面を箱庭に見立て岩絵具を用いることで、平面に物質性を持たせ“ もの ”の見 方の転換やその本質を問う表現を追求しています。
中根航輔