イベント紹介Event Information
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Bambinart Galleryにて、堀 聖史(ほり さとし)個展「ヘアリー・フェアリー」が9月18日(土)から 10月3日(日)まで開催されます。
1996年北海道札幌市に生まれた堀は、現在東京藝術大学大学院油画第3研究室に在籍しています。
現実世界の一瞬がフックとなって堀自身に内包されたイメージが誘発され、イメージと現実が交差する世界を描く堀聖史。2019年の初個展「ランタイムのともだち」では、いまは思い出せないが確かにいた存在の"不在の振る舞い"を抽出して"ともだち"というイメージと関係させ描きました。2回目の個展「まなざし仮面」(2020年)では、絵を堀と世界の眼差しが交差して激突した衝撃で生まれる仮面であると捉えて描いた作品群を発表しました。
新作個展としては3回目となる本展では「ヘアリー・フェアリー」と題し、毛むくじゃらの妖精を象徴的なイメージとして、事物の表層を突き破りながら現れてくる神気を捉えて描きだしています。堀の描く人間のような動物のような、あるいは人間でも動物でもない流動的な何かが、いったい何であるのか。その世界は何であるのか。これまで朧げであったものが、より明確な形を伴って現れてくるかもしれません。
「かつての詩人や画家は、異国の田園や未踏の地に思いを馳せ、歌や絵にしました。“パストラル”といわれるものです。“牧歌”は、田舎で歌われる歌などではなく、異界に思いを馳せた詩人の夢想なのです。私は、パストラル画家なのかも知れません。ありもしない世界を夢想し、自分の心の中の混乱を吐き出しながら、それでもこの世界に希望を託しながら絵を描いています。「ヘアリー・フェアリー」というタイトルには、けむくじゃらで、ぼろぼろで、ツいてない、まぬけな姿をしたものが、本当は妖精かもしれない、というプロットが込められています。不吉で、不運で、不条理としか思えない状況が、本当はラッキーかもしれない。そんな奇跡が、どこかにあるかもしれない。地面や、皮膚の内側、すぐそこに、そんな奇跡の種がたくさん埋まっていて、もじゃもじゃと根を広げているのかもしれません。未踏の地とは、私自身の肉体であり、触れるもの、見えるものの0.01ミリ向こう側にある"田園"なのだと思います。私はそこに思いを馳せています。」(堀聖史)