イベント紹介Event Information
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H.P.FRANCE WINDOWB GALLERY MARUNOUCHIにて、垂谷知明 個展「始めにカオスありき。」が2022年5月1日(日) から5月24日(火)まで開催されます。
始めにカオスありき−。今回ご紹介する、垂谷知明の「スライドショー」シリーズは、自身と家族が残した約四万枚の私的写真をプロジェクターでランダムにアトリエ内に投影し続け、その渾沌(こんとん)とした状況の中で構想され描かれていきます。
ランダムに再生される光景に、誘発され喚起されながら、彼の37年間のさまざまな記憶の断片が、偶然に出あい、結ばれては解(ほつ)れ、離合集散を繰り返し、一枚の絵が結晶化されていきます。
ポリフォニックな彼の作品は、効率性を求め加速化する時代に逆行し、複雑で多義的です。無作為と作為、受動と能動、デジタルとアナログを往復する制作プロセス、細緻な丹念さと即興性を共存させる表現、紙やテープが貼られているようにみせかけた虚実ないまぜの描写など、さまざまな二項対立が複雑に絡み合わされて描かれます。
カオスと共に変容を続ける彼の作品群は、多義性に満ちており、皆さまの自由な発想でお気に入りの一枚をお探し頂きながら、ぜひこの機会にご高覧いただきますようお願い申し上げます。
<Artist Statement>
カール・ラガーフェルドの仕事机はあらゆる資料が乱雑に積み重なっている。その画像を見たとき、常に渾沌に身を置きながらアイデアを生みだそうとしているように感じた。
寝てみる夢は、現実からかけ離れ、ありえない風景や展開をみせるが、常にクリエイティブに満ち溢れ、人の水面下にひろがる可能性を感じさせる。
竜巻という秩序は、渾沌とした空気の流れが互いに影響し合うことで生まれるという。
人生は竜巻と似ている。あらゆる予測不能な出来事が日々起こり続け、その流れに時に従い、時に抵抗し、その出会いと葛藤の連続の中で、ふと気が付けば、いま私がここに立っている。
この存在のあり方に、私の描きたいリアリティーがある。
- 垂谷 知明