イベント紹介Event Information
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YOD Galleryにて7月10日(土)より原口典之『コウセイ』が開催されます。
鉄材や鋼材、ゴムやポリウレタンなどの工業素材をあるがままに見せるだけでなく、その物性を活かしながら、場の生成に能動的な介入を行う作品を発表し、もの派の代表作家として語られることの多い原口。
本展では、1998年から2010年にかけて制作されたドローイングに焦点を当てる。本展タイトルの『コウセイ』とは、展示作品の一部である《コウセイ》シリーズに由来する。自身のドローイングについて、原口は、かつて次のように述べている。
「零点何ミリかの極めて薄い紙を使ったりとか、鉛筆画紙を刻んだりとか、紙を擦っていくときの非常にデリケートな圧力というか、そういった身体の感覚というか直接性を大切にしている[1]。」
造形作家である原口は、物体に直接触れ、その重さや物性を感じ取りながら巨大な作品を制作してきた。上記の言葉から推察するに、彼にとって、ドローイング制作への姿勢は、立体作品を作る際の方法論とさほど変わりはないようだ。まるで立体作品を「構成」していくかのごとく、紙の上に展開された平面作品は、原口の思考を読み解く一つのカギとなりうるだろう。
[1] 『ACRYLART vol. 27』ホルベイン工業株式会社、1996年、p. 1