イベント紹介Event Information
※新型コロナウィルス感染拡大による社会情勢に伴い、美術館およびギャラリー施設において休廊、休館、もしくは会期の変更をしている場合がございます。詳しくは、各施設サイトをご確認いただきますようお願い申し上げます。
作品と空間全体が1つにつながり響きあう ー
無数の作品とともに、緩やかに時間が流れるひと時
普段、気にも留めないありふれたものに、少しの隙間を加える、あるいは天地を入れ替えたり裏返したり。一見するとユーモラスな造形が多いが、心静かに対面すると、その軽く透明感のあるイメージから一転、日常と表裏一体にある深遠な世界が観る人の眼前に広がってくるー。
80年代前半より制作活動をスタート、そのいずれにも寄らない独自の哲学的作風で早くから注目を集め、多方面から多くの支持を得ている、関西、そして日本を代表する現代美術作家の一人、今村源。ギャラリーノマルでは2017年以来4年振りとなる個展を開催いたします。
受動と能動の狭間を作品とともに揺れ動く、体感的展示空間
今村は以前より、運動と静止の均衡が保たれた状態に関心をもち、独楽(コマ)や振り子といったモチーフを作品として登場させてきました。それは固定された状態(硬く強い彫刻、あるいは当たり前とされる常識)へのアンチテーゼというより、そうした状態を内包する自我からの脱却の試みとして、ながらく今村のテーマとなっています。 今回の展覧会では、グレーに着色された針金を素材に、平たく成型された様々な生物のかたちをした無数の彫刻が一本の糸でつながり広い画廊壁面の其処此処でクルクルと回転している、ユニークなインスタレーションを中心に、作家初となる映像を用いた展示も予定。 またそれ以外にも、今回のテーマから発案された、インスタレーションに用いられる彫刻作品を使用した新作版画も同時並行で制作中です。
ユニークな表現の中に深い想いが込められた今回の展示と作品の数々を、ご高覧くださいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
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作家コメント
流れることと留めること
小学校の頃犬を飼っていてよく散歩に出かけた。子供の力では散々引っぱられ走り回って帰ってくる。その後共に喉がカラカラになって水をあげていたのだが、その時の様が思い出される。犬はボールに満たした水に舌を入れ、巻き込むように必死に動かしながら飲む。半分以上舌から流れ落としながら、わずかに絡め取られた水を何度も何度も動かし口の中に流し込んでいた。なんとも効率の悪いもどかしいことだ。こちらはコップで一気にぐびぐびである。思えば人が初めて両手合わせてその窪みに水を貯めて飲めるようになったのはいつ頃なのだろうか。人とは呼べない頃まで遡るのかもしれない。口から直接吸い込むこともできたのだろうが、流れる水を一旦手のひらに留め置き、一気に飲み干すことはさぞ快感であったろう。さらに器を作ってあの流れる水を汲み留めることは尚のこと衝撃的な出来事であったに違いない。流れるものを留め置くことへの欲望はこんなことから始まって膨らんでいったのかもしれない。食や住などなど、留め置くことが人が人として成立することとパラレルに進みながらますます肥大化の一途を辿っているようだ。
こと彫刻に目を向けるとやはり流れるものの形象を追い、それを留め置くことに必死になって立ち向かっているともいえる。手のひらに一瞬溜め込まれたように見える水のごとくその一瞬の快感を求めて終わらない鋭意がつづく。でもそろそろ流れる方向へと、それこそ流れていっても良さそうであるのだが、この留め置くことはなかなか手強い。
今村源
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○ 最終日 関連イベント .es(ドットエス) Closing Live "流れること / 留めること"
2021.7.3 sat, open 19:00 / start 19:30 -
charge:¥2,000. *予約制
performer:.es (ドットエス)