イベント紹介Event Information
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Yutaka Kikutake Galleryにて、7月30日(金)から9月4日(土)まで、三瓶玲奈の個展「線を見る」が開催されます。
本展では、近年三瓶が集中的に取り組んでいる作品シリーズでもある「線を見る」より新作ペインティングを多数発表予定です。
目の前に広がる風景に線は見えない。そこから線を取り出すため、視界の中をさぐる。
引かれた線にその周囲があるように、視界は対峙した時間ごと絵画の地となっていく。
風景に見た線を再考し、絵画の構図に置きなおす。
線は、いま、目の前に確かにあらわれている。
三瓶玲奈
本シリーズ「線を見る」は、もう何年も、様々な季節、時間帯に作家が通い、スケッチを繰り返している一つの場所をめぐって展開されます。人や建築物、過ぎ去る自動車や日が暮れると灯される光、あるいは、天気とともに変化する自然光やその場の温度や湿度といった空気感。そうした諸要素を確かめながら、その場所の風景から作家は線を見出し、線との関係性によって目の前に広がる風景を読み解き、絵画へと落とし込んでいくのです。三瓶の本作品シリーズには、一見抽象的に見える画面とは裏腹に、その実極めて具体的な考察や感覚が満ちているといえるでしょう。
三瓶はこれまで、人間は知覚を通じてどのように目の前にある風景や事物を認識しているのか、そして、それらをより深く感受し記憶するためにはどうすればよいのか、ということを絵画を通して追求してきました。事物を象る線や色、そして、それらを人間の目に伝えてくれるメディアともいえる光など、知覚に関わる諸要素を絵筆を通して解体・再構築しながら絵画を制作しています。そうした試みは、「線を見る」のほかにも「色を見る」(2020年の個展タイトル)や「色を編む」、そして「光の距離」といった各作品シリーズの名称が語るように、どの要素に焦点を重点的に置き、どのように考察を行うかによって、バラエティ豊かな作品へと繋がっていきます。そうした三瓶の作品は、絵画であるからこそ追求することができる知覚の姿があるのだということを、鑑賞者に伝えてくれるようです。