イベント紹介Event Information
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小山登美夫ギャラリーにて、ブラジル現代美術を代表するアーティスト、パウロ・モンテイロ展「場所のない色」が2022年5月11日(水)から6月4日(土)まで開催されます。
2017年MISAKO & ROSENと当ギャラリーにて開催した、パウロ・モンテイロ日本初個展は大きな反響を呼び、本展は2020年のMISAKO & ROSENでの個展以来、日本国内では2年ぶり3度目の個展となります。
【パウロ・モンテイロの作品について
ー ペインティング、ドローイング、彫刻がハーモニーを奏でるように存在する】
ピンク、オレンジ、ブルー、イエローなどの鮮やかな色面に、ところどころの絵具の盛り上がりが物質の存在を表出させるペインティング。ぐにゃりと崩れ落ちそうな粘土を上から押し付け、ブロンズやアルミに鋳造した立体作品。
パウロ・モンテイロは、ペインティング、ドローイング、彫刻をミニマル且つ表現豊かに制作し、展示全体では絶妙な距離感によりすべての作品が互いにつながりを持ちながら、共鳴するように存在させます。
それは星座や譜面、ダンスの動きのようにも例えられ、ひとつひとつの作品は固有の存在感がありつつも、それぞれ展示される位置や、見る角度によっても見えかたが異なり、他の作品との色、形、大きさの特徴や違いを見つけ出す楽しさがあります。
また2、3点のペインティング、立体などの組み合わせで1つの作品としていることもモンテイロ作品の大きな特徴です。作品と展示全体がハーモニーを奏でるように成立しており、鑑賞者はパウロ・モンテイロの作品世界を身体全体で体感することができるでしょう。
【本展について
ー 「色にきまった場所はない」。自由な色の組み合わせと、物質的な躍動感】
今回の展覧会タイトルについて、モンテイロは次のように語っています。
「『場所のない色(Colors without a place)』とは、色同士の多様な組み合わせのことです。
例えば、同じ赤でも、緑と青の横に並べるのとでは全く違った印象になります。つまり、色は配置によってさまざまな表情や意味を持つので、「色に場所はない」と考えるようになりました。
また、色には地理的な特定の位置がないということを示唆する、landscape(風景、景色)という意味での「place」という言葉も好きです。ペインティングでは、同じ色でも異なる位置に配置することで、これらの不思議な変化を捉えようとしています。」
「立体作品でも同じような試みをおこない、色をつけ、絵画と同じように見えてくる。だから立体作品も壁に掛ける。そうして色が様々な異なる場所に存るようになるのです。」
今回、色と色の組み合わせについて、明治生まれの洋画家、和田三造の著作「配色辞典ー大正・昭和の色彩ノート」を知り、影響を受けたとのことです。
本展の新作では、前回の眼が覚めるような鮮やかなピンクなどよりも、少し落ち着いたトーンの茶色、赤、オレンジ、ブルー、イエローが印象的です。
またキャンバスの真ん中に楕円が描かれ、背景と様々な色が塗り分けられています。厚みのある絵具の層の上下からツノのようにぽつっと絵具がそがれ、別の箇所に同じ形に盛り上げられているのが見えます。立体作品も、一部がカットされ別の部分に移動してまるで素材に反しているかのような独特の形が作り出され、作品に躍動感や、それに伴う時間をも内包されているようです。
色が、場所と動きと時間と共に、自由に生き生きと表れるパウロ・モンテイロの新作。
少し離れて見たり、近づいて見たり、様々な角度から作品の新たな見え方や楽しい発見を探しに、ぜひお越しくださいませ。