イベント紹介Event Information
この度小山登美夫ギャラリーでは、ソピアップ・ピッチ展「RECLAIM - 再生」を開催いたします。
ソピアップ・ピッチは、カンボジアの現代アートを代表する作家の一人です。カンボジアに根ざした手仕事と素材への畏敬の念と情熱を、洗練された現代的な構造で表現し、今までに多くの美術館個展開催、国際美術展の参加、国際的に活躍してきました。
日本では2017年に森美術館での「サンシャワー:東南アジアの現代美術展」(国立新美術館にて同時開催)に出展、作品はカタログの表紙を飾り大きな話題となりました。また同年には、第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展「VIVA ARTE VIVA」への出展、および日本での初個展となった小山登美夫ギャラリーでのソピアップ・ピッチ展「desire line」を開催し、さらなる飛躍を遂げています。 本展は、日本での2度目の個展となり、待望の新作を発表いたします。
スケジュールSchedule
2019/12/20 - 2020/1/25
[開廊時間]
11:00〜19:00
[休廊日]
月・日曜日、祝祭日
開催場所Place
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東京都港区六本木6-5-24 complex665ビル2F
その他概要Outline
ピッチは1971年カンボジア生まれ。幼少期ポルポト政権下の悲惨な時代に育ちました。1979年には情勢不安から逃れるため、家族でタイ国境近くの難民キャンプに5年間滞在。そこでNGOが運営するアートスクールに通い、ペインティングに興味を持ち始めます。1984年には一家でアメリカに移住し、1990年マサチューセッツ大学アマースト校に入学。父の希望もあり医学を専攻しましたが、ペインティングへの興味を捨てきれずファインアート専攻に転部し1995年に卒業。その後1999年シカゴ美術館附属美術大学ペインティング専攻を修了しています。
しかし卒業後のNYでの制作活動で、彼は作品表現に苦悩し模索します。ピッチは悲惨な体験があったにもかかわらず母国の光景に飢えていたのです。そして2002年ついにカンボジアに帰国、農村での生活に戻る決意をしました。
そしてピッチは、竹やラタン、ワイヤー、蜜蝋などの地域に根ざした素材を使用し、自分が魅了された木々や花などの植物、自身が学んだ人間の解剖学や、都市構造などからインスピレーションを得て、有機的かつ幾何学的な立体作品を精力的に制作しはじめました。それは目の粗い織り方で透明性があり軽く見せながらも、洗練された機能的な構造による圧倒的なボリュームを生じさせており、鑑賞者はまるで空間全体にエネルギーが溢れ出ているように感じるでしょう。2011年以降のミニマリズムを彷彿とさせるようなグリッドのレリーフ作品も、ピッチの代表的な表現の一つとして制作を続けています。
ピッチは自身の制作に対して次のように語っています。
「カンボジアでの経験は全て素晴らしくて、悲しくて、辛くて、美しいです。私はそれらを作品で見せたい。表面の美しさだけではなく、作品を作る過程も見せたいのです。私にとって、大きな竹を薄く切ったり、ワイヤーで縛ったりすることを繰り返す作業は楽しいです。よく伝統的な方法で制作していると言われますが、私のテクニックは現代的なものだと思います。」
(「アートに全身全霊を捧げ、闇の中に光と真実を探す」Interview with: ソピアップ・ピッチ、アートコレクターズ、2017年12月号)」
こうしてピッチの立体作品は世界中の人々を魅了し、2012年第13回ドクメンタへの出展、2013年NYのメトロポリタン美術館、2014年インディアナポリス美術館での個展開催などをきっかけに、現代アート界において国際的に名を広めます。作品はニューヨークのメトロポリタン美術館、グッゲンハイム美術館、パリのポンピドゥー・センター、香港のM+、シンガポール美術館、サンフランシスコ近代美術館等、世界各国の主要な美術館に所蔵。日本では東京都現代美術館、森美術館に所蔵されています。