イベント紹介Event Information
LOKO GALLERYは 恵比寿映像祭2020 地域連携プログラムとして 、シンゴヨシダの個展 "頂上 -The Summit-" を開催いたします。
ヨシダは長年に渡り欧州で活動し、極限の状況や何気ない日常のきわめて精緻な描写により自己認識を追求する映像作品で高い評価を得てきました。
10年ぶりとなる日本での個展では、作家の父、そして祖父が深く関わった、ある句碑建立の物語をトレースし、ギャラリー空間に再構築します。
富士の登山者は毎年30万人を数えるが、頂上である剣ヶ峰、今は閉鎖された測候所のすぐそばに建てられた句碑に気付くものはほとんどいない。
その碑は大人の胸の高さがあり、本体と台座からなる。
表面には”ホトトギス”などで活躍した俳人山口誓子と俳友たち、北舟子、波津女、霜楓による句が刻まれている。
お鉢の西側、大沢崩れをすぐ見下ろして立つ句碑は根府川石造りで重さは数百キロはくだらないだろう。
山裾からゆっくりと立ち上がる富士の勾配は頂上付近になるともはや崖で、滑落や落石により毎年何人もの犠牲者が出る。
巨石を山頂へ運び上げ据え付けることが危険を伴うよほどの大仕事であることは想像に難くないが
それは「どうせ建てるなら日本一の場所に建てよう」という句碑建立の発起人、北舟子の夢だったのだ。
昭和49年8月20日早朝、富士五合目御殿場口。父親の夢を受け継いだ吉田南舟子は、雲に覆われたはるかな山頂を見上げた。