イベント紹介Event Information
※新型コロナウィルス感染拡大による社会情勢に伴い、美術館およびギャラリー施設において休廊、休館、もしくは会期の変更をしている場合がございます。詳しくは、各施設サイトをご確認いただきますようお願い申し上げます。
MISA SHIN GALLERYにて7月7日(水)から8月21日(土)まで、篠田太郎、東松照明、崔在銀、フランシス真悟によるグループ展「Reflection」が開催されます。
世界的な新型コロナウィルス拡大によって都市や国境を越えた移動制限や、急激な経済活動の縮小などによって、大気汚染・水質汚濁などの環境問題は一時的にではありますが、目に見えるほどの改善を見せました。ウィルスもまた自然界の一部であり、歴史的にも感染症の大流行は社会構造に変化をもたらしています。本展覧会ではこのように密接に関わり合っている自然と人間社会をテーマに、ギャラリーアーティストによるグループ展を開催いたします。
篠田太郎の映像作品「Reflection」はスイスのバーゼルにあるスイスで最も古い動物園を撮影した作品です。連日動物園に足を運んだ篠田は動物園がまるで都市の模型のようだと思うようになります。そこには医療設備、食事を準備する場所、金属や木材の加工工房などが備わっており、動物は自由と引き換えに、食料と生活の安定が保証されています。一見静止画のように見えますが時間が確実に流れる抽象的な映像は、人間社会と文明の構造とそのあり方を再考させます。
東松照明の「プラスチックス」は砂浜に打ち上げられたプラスチックの漂流ゴミを撮影した作品です。プラスチックボトル、砂に埋もれた手袋やポリ袋などの戦後の環境汚染の残骸は、濡れた砂紋の上に緻密に構成され、黄昏の薄光の下撮影された作品は、ゴミがあたかも永遠の命を与えられた静物画のような荘厳さを放ちます。その構成は、1960 年代の変貌しつつあった東京の路面に埋め込められた釘や鉄くずが宇宙的な深淵のように見える「アスファルト」を彷彿させ、海と陸、都市と文明、過去と未来、自然と人工物といったさまざまなインターフェイスを行き来する事象として存在します。
崔在銀の「No Borders Exist in Nature」は、時間と露光によって淵が焼けた古い図鑑の1ページに、黒鉛で描いた詩のドローイングです。時の堆積が刻み込まれている紙に、崔の活動の根底にある自然についての思索と共生、そして人間中心主義を反省する言葉が、細密に綴られています。また、古本の何も印刷されていないページを切り取りコラージュした作品「Paper Poem」の重なり合うページの繊細な色調とグラデーションに見られる構造主義的なコンポジションは、真上から見た都市における建物のようでもあります。
コロナ禍において都市間の移動が出来なくなったフランシスは、ロサンゼルスのスタジオで一日一点のドローイングを描く新シリーズ「Daily Drawing」の制作をはじめました。このシリーズは、毎日欠かさずメディテーションのように描くことを自分に課し、世界的なコロナ禍の状況に対するフランシスの応答を、ドローイングという身体的な行為で表現したものです。
篠田の「Reflection」はギャラリーでは初の展示となります。4 人のアーティストがそれぞれの手法で自然や人間社会と向き合う作品をぜひご高覧ください。