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Yoshimi Artsにて、館勝生の展覧会「館勝生 1980s-1990s」が2022年5月11日(水)から29日(日)まで開催されます。
コンセプチュアル、ミニマル、ニューペインティングが混在している中で、館勝生は、身体の感覚に一番近いところで出来る絵画を選びました。晩年にあたる2008年まで描き続け、その短い画業の中でも作品は変化していきました。1990年代初めからは、虫と分かるような有機的な存在を用いて描いていますが、それまでの、絵具の色彩と物質感で描いていた抽象絵画とは、それらは一線を画す作品のように思います。
館勝生の実家は養蜂場を営み、館も幼少の頃、花を求めて全国を回るのに同行して、自然の中で四季や朝夕の時間の移り変わりを肌で感じていました。その体験からインスパイアされ、虫を抽象的に描くようになったと聞きます。その後、1990年代中頃の作品になると、虫のようなモチーフが解体されて、絵画の構造が画面全体に立ちあがり、突然出現した球体が宇宙的な空間を作り出します。それが2000年に入ると、激しい生命観を持ったような抽象化された有機体になり、それと共に大きな余白が出現します。その余白が時間を作り出し、時間の中において、浮遊する有機体が激しくも限りある物に見えてきます。また、2006年までの余白部分は淡いパール色で薄く塗られ、少し絵具の物質感がありますが、2007年になると有機体が少し大きくなるのと同時に、余白に絵具を全く塗らなくなっており、時間が流れているようにも、止まっているようにも感じられる空間へと展開しているように思います。
本展は、初期作品にあたる1980年代から一つの達成を得た1990年代までの作品で構成し、2000年代の作品に至るまでの足跡を辿る展示となります。出品作品は、1988年に20代で描いた油彩1点、1995年の阪神・淡路大震災で館勝生のアトリエは甚大な被害を受けた為にあまり作品が残っていない時期にあたる1994年作のドローイング3点と1995年の油彩1点、そして1996年の大作1点の計6点を予定しています。
また、現在、国立国際美術館のコレクション展「コレクション2:つなぐいのち」(2022年5月22日まで開催)では、絶筆作品ともう1点、2008年の2作品が出品されています。併せてご高覧頂ければと思います。