絵画、陶彫、マンガ、絵本、イラストなどのジャンルを縦横無尽に横断しながら独創的な世界を展開した立石紘一、ことタイガー立石、こと立石 大河亞(1941-98)。
1941 年 12 月、九州・筑豊の伊田町(現・福岡県田川市)に生まれた立石は、大学進学のために上京。63 年の「読売アンデパンダン」展に出品し、 翌年には中村宏(1932 年生)と「観光芸術研究所」を結成。時代や社会を象徴する人物やイメージなどを多彩に引用して描かれたその作品は、和製ポッ プ・アートのさきがけとして注目を集めました。65 年からは漫画も描きはじめ、「タイガー立石」のペンネームで雑誌や新聞にナンセンス漫画の連載を もつまでになります。60 年代末から多くの子どもたちが口にした「ニャロメ」ということばは赤塚不二夫(1935-2008)と交流があった彼の造語でした。
マンガの制作が多忙になった 1969 年 3 月、ミラノに移住。のべ 13 年にわたるミラノ時代は、マンガからヒントを得たコマ割り絵画を精力的に制作 する一方、デザイナーや建築家とのコラボレーションで数多くのイラストやデザイン、宣伝広告などを手がけています。
1982 年 2 月に帰国し、85 年から千葉を拠点に活動します。90 年以降は絵画や陶彫作品を「立石大河亞」、マンガや絵本を「タイガー立石」 の名前で発表しました。
立石の作品はどの時期のものであっても、さまざまなできごとや観念が地層のようにつみ重なっています。このため、「見る」だけではなく「読む」 ことによって、作者がつくり出した世界だけでなく、わたしたちの思考の回路も多次元にひろがる点に大きな特徴があるでしょう。
立石は 1998 年 4 月に 56 歳という若さでこの世を去りましたが、没後 20 年を過ぎ、生誕 80 年をむかえる今年、約 250 点の作品・資料によって その多彩な活動をふり返ります。
<見どころ>
■過去最大規模の個展。約250点の作品・資料が一堂に!
漫画、絵本、イラストレーション、絵本、立体とさまざまな領域を横断したタイガー立石。本展は 17 歳の頃描いた作品から遺作までを紹介。 なかでも、明治、大正、昭和という日本近代を総括する大画面三部作や、現代のグラフィティにも通じる《立石紘一のような》、全長約 9 m の絵巻物《水の巻》は必見!約250点の作品・資料が一堂に会す、過去最大規模の個展となります。
■いくつ見つけられる?作品に引用された元ネタたち
サント・ビクトワール山を模したような郷里の山、古賀春江《海》のポーズを取る美空ひばり...。タイガー立石の絵画には、セザンヌやダリ、 キリコ、高橋由一、岸田劉生、古賀春江など古今東西の美術史上のモチーフや、歴史上の著名人である毛沢東、西郷隆盛、三島由紀夫、 松下幸之助らが画中に登場するユーモラスな世界が広がります。さまざまな引用から、絵画を「見ること」、「考えること」の楽しみを堪能で きます。
■一世を風靡した「ニャロメ」の元祖!ナンセンスな漫画世界
1965 年頃から本格的に漫画を描きはじめ、『週刊アサヒ芸能』や『少年サンデー』で活躍していた タイガー立石。交友のあった赤塚不二夫の漫画に登場した「ニャロメ」もこの頃立石によって作られ た言葉でした。その後、漫画のコマ割りをそのまま絵画に描く独自の「コマ割り絵画」が誕生。時空 間さえもひっくり返るような立石独自の世界が現れました。本展では、漫画原画も多数展示、現代の 漫画家やサブカルチャー界からも注目される「視覚的ショート・ショート」ともいうべき摩訶不思議な タイガー立石ワールドをお楽しみください。
<展覧会関連イベント>
オンラインワークショップ「おうちでポーズを決めて、ドット 絵風なデジタル必殺技カードにしよう!」
受付期間:5月1日(土)〜5月30日(日)
対象:どなたでも/先着40人/参加無料
市⺠美術講座「極私的タイガー立石論」(事前申込制)
5月22日(土)14:00(-13:30開場予定)
講師:藁科英也(当館上席学芸員)
11階講堂にて/定員60人/聴講無料
ワークショップ「美術館でポーズを決めて、ドット絵風な必殺技バッジをつくろう!」(当日受付)
開催日:6月19日(土)
時間:1回目10:00〜12:00/2回目 14:00〜16:00
会場:4F事務室前ロビー、市⺠アトリエ1・2
対象:小学生以上/各回先着5人(各回の最初に整理券を配布)/
参加費:500円
市民美術講座「サトウ画廊コレクションから見るタイガー立石」(事前申込制)
6月26日(土)14:00(-13:30開場予定)
講師:森啓輔(当館学芸員)
11階講堂にて/定員60人/聴講無料
※申込方法など詳細は
美術館ホームページをご確認ください。
<同時開催>
「千葉市美術館コレクション選 特集 サトウ画廊コレクションより―タイガー立石とともに」
4月6日(火)―7月4日(日) 5階常設展示室 [休室日]第1月曜日 [観覧料]一般300円 大学生220円(企画展ご観覧の方は無料)
「つくりかけラボ03 武藤亜希子|C+H+I+B+A ART シェアばたけ」
4月15日(木)―7月4日(日) 4階子どもアトリエ [休室日]第1月曜日 [観覧料]無料