イベント紹介Event Information
※新型コロナウイルス感染拡大による社会情勢に伴い、美術館およびギャラリー施設において休廊、休館、もしくは会期の変更をしている場合がございます。詳しくは、各施設サイトをご確認いただきますようお願い申し上げます。
※展覧会は会期を延長し、12月18日(土)まで開催。
シュウゴアーツにて、森村泰昌・三嶋りつ惠の二人展「わたしはどこに立っている」が10月30日(土)から11月27日(土)までの期間、開催されます。
世界の美術史、20世紀の歴史的人物などに扮して写真によるセルフ・ポートレイトを制作する森村泰昌と、ヴェニス・ムラーノ島で吹きガラスによる制作を続ける三嶋りつ惠の共同プロジェクトはシュウゴアーツ初の試みです。
一見して交わるところのない二人のアーティストが今展のキーワードとしたのは、森村泰昌が扮した松本竣介の自画像作品でした。「わたしはどこに立っている」と題された本作は、若くして聴力を失いながら画家を志し、戦中の国防美術の流れにも果敢に抗った松本竣介の代表作《立てる像》(1942) が主題となっています。
アーティストは自己の立つべき地平に芸術の旗を棹さし、世界と対峙して表現活動を行います。日本の地から一貫して「わたし」を主題に近現代史を再構築する森村泰昌と、ヴェニスを拠点にガラスを素材とした光の形象を追求する三嶋りつ惠は、それぞれ独自に辿り着いた場所から、芸術における現れを発表し続けてきました。今日において私たち一人一人がどこにどのように立つのか、という問いかけは混迷の時代の中でより大きな意義を持って投げかけられます。
今展では森村泰昌の自画像の美術史シリーズより、松本竣介に加え、ヤン・ファン・エイク、デューラー、ダヴィンチ、カラヴァッジョ、ゴッホらをとりあげ、三嶋りつ惠がそれらの人物へ捧げる新作をヴェニスで制作します。森村は主題となる人物に扮するとき、歴史的な通説であるキャラクターになりきるのではなく、自己の解釈や想像力を駆使して新たな自画像を作り上げます。今回は三嶋りつ惠もまた、それらの人物を自らの視点で分析し、彼らはどのような作品を喜ぶだろうか、どのような光にふさわしい人物だろうかというペルソナを想定し、ガラスの贈り物をつくり上げます。
本展は森村、三嶋のコラボレーションであると同時に、過去のアーティストたちとのコラボレーションでもあります。幾層もの豊かなイマジネーションの世界で構築された本展は、時空を超えたアーティストたちの共演を楽しんで頂けるものとなるでしょう。ぜひこの特別な展覧会にご期待ください。