イベント紹介Event Information
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KATSUYA SUSUKI GALLERYにて、長谷川彩織による個展「- In the city -」が2022年1月8日(土)から1月23日(日)まで開催されます。
2016年に多摩美術大学大学院博士前期課程美術研究科を修了した長谷川彩織は、これまで個展の開催、グループ展への参加の他、近年では香港や韓国のアートフェアに参加するなど、活躍の場を世界に広げています。
これまで「迷子の風景」と銘打った作品を発表してきた長谷川は、植物と風景を重ね合わせる事で、破壊と再生のリズムを生み出し、新たな構成を作り上げます。その植物と風景を交互に重ね合わせ描いていく中で、意識からこぼれ落ちていく風景を長谷川は「迷子の風景」と呼んでいます。
これまでは主に彼女の身近な街の風景を取り上げてきましたが、今回の個展では-In the city-と題し、都市の中の「迷子の風景」を見つめ直します。
「迷子の風景」と題する作品を制作しています。生の植物と写真に撮った風景を同じ画面に構成し、描いていく中で次第に両者は動き始めます。互いに絡み、共生するように混ざり合っているかと思えば、再生と破壊を繰り返しながら広がり、風景を形成していく。二つの間で繰り返すリズムは風景の前に佇む人の意識を記憶や空想へと導き、彷徨わせます。そんな繰り返される儚くも力強い循環の中で迷子になれたらと思っています。
花はいつの間にか枯れている。
写真の風景はいつの日か見た風景、今日じゃない、過去の時間の中で見つけた風景のかけらのようなもの。それを見つめる。カンカンの箱に入った複数枚の写真の中から選ぶ、何でもないような風景、たまたま撮った写真、どこなのかももう思い出せない場所やいつも見続けている身近な場所。
植物と風景を描く、でも二つを同時に見ることはできない。同時に描くことはできない。交互に描いていく、重ねていく、植物を見ているときは風景を見ていない。風景を見ているときは植物を見ていない。集中して見つめている間に見落としているものが必ずある。何を見落としたのだろう?なぜ見落としたんだろう。
ひょっとしたら見落としてしまえるほど安心感のある存在なのかもしれない。身近で見慣れたものを見失うことが私たちは得意だから。
意識の不在によって見落とされた風景を「迷子の風景」と呼んで、見落とされるであろうその存在を見つめ返してみる。
花はいつの間にか枯れている。
長谷川彩織