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塩竈市杉村惇美術館の7回目の若手アーティスト支援プログラムVoyageでは、作曲家・大久保雅基、美術作家・佐竹真紀子による「波紋のかなたに」が開催されます。
若手アーティスト支援プログラムVoyage
これからの活躍が期待される若手アーティストの可能性に光を当て、新たなステップを提供することを目的として、展覧会を中心としてトークやワークショップ等多様な表現の機会を設ける事業です。
多くの人々にとって新たな才能や感性と出会える場となるよう毎年度ごとに異なるプログラムの展開に取り組んでいます。
7回目を数える今回は、作曲家・大久保雅基、美術作家・佐竹真紀子のお二人をご紹介します。
大久保雅基・佐竹真紀子展「波紋のかなたに」
7回目を数える今回は、公募により選考された作曲家・大久保雅基、美術作家・佐竹真紀子をご紹介します。
大久保は、電子音響音楽、コンピュータ音楽、室内楽、インスタレーション、映像等の多岐にわたる表現手法を用いて新たな音楽体験を創造しています。テクノロジーを用いて器楽の演奏行為を拡張しつつも、人間の身体性の根本に迫ろうとする作品は、常に社会の動向をとらえながら、未知の体験や考え方に出会わせてくれるものであり、音楽の持つ可能性を開拓しています。
佐竹は、絵画や立体などの手法を介して作品を制作。近年は主に絵画に取り組み、震災後の東北各地で目にする風景と、人々に聴く暮らしの情景とを重ね合わせた表現を思考しています。塗り重ねた絵の具の層を彫刻刀で彫り出すという手法で、彫り起こす深さによって凹凸と色彩に富む作品は、過去の記憶から現在、そしてこれから先の未来を行き来する人々の語りと風景とを繋ぐ表現を追求しています。
これまでさまざまな社会の事象をテーマとしてきた大久保は、東日本大震災以降、改めて震災に正面から向き合う作品に取り組みました。塩竈市民の心のよりどころである鹽竈神社をリサーチするなど塩竈にてフィールドワークを行い、災害を引き起こす自然現象の振る舞いを理解し、天災を鎮めるための場として、神域を表現した作品を発表します。
佐竹は塩竈で出会った人々と対話を重ね、人の中に宿る塩竈の面影と、幾重にも歴史が折り重なるまち並み、自然豊かな島々とが合わさる塩竈の風景とを繋ぐ新作を発表します。
これまで経験したことのない災害に直面し、昨今の私たちの生活が大きく変化する中で、インターネット上でのコミュニケーションの必要性がより高まる反面、人と人との直接的な対話の重要性にあらためて気づかされることも増えているのではないでしょうか。
物事の根本が揺るがされるたびに私たちは互いに知恵を出し合いながら、また、自然との対話を試みながら困難な状況を乗り越えようと思考し、行動してきました。
東日本大震災から10年の歳月が流れ、新型コロナウイルスに社会全体が大きな影響を受けています。自然のざわめきや人々の語りに耳を澄ませ、表現による対話の可能性を広げる二人の表現を通じて、それぞれに抱える思いが繋がりあい、さらに波紋のように広がっていく機会になることを願っています。
<関連企画>
・潮紋祭
※「暮らしの市2021夏」内で開催。
2021/7/24[土]10時〜15時 大講堂[入場無料]
大久保雅基による、展示内容に関連したサウンドインスタレーション。お祭りの開幕と閉幕の時間にパフォーマンスがあります。
・おしゃべり会
10時30分・12時30分[入場無料]
塩竈周辺での思い出や暮らしていて思うことなどを、気軽におしゃべりする場です。
聞き手:佐竹真紀子
・クロストーク
大久保雅基(作曲家)
×飯沼由和(役者)×尾崎森平(美術家)
13時30分 2階サロン[予約優先/要展示観覧料]
東日本大震災やコロナ禍を通しての芸術のあり方、それに続く未来の芸術について語り合います。
・ギャラリートーク
大久保雅基・佐竹真紀子
2021/7/31[土]14時 企画展示室
定員:15名[要予約]
作家による作品解説等アーティストトーク。
展示観覧料でご参加いただけます。
・耳を澄ませる、陸(おか)と島の行き来
2021/8/22[日]9時〜(3時間程度)
集合場所:マリンゲート塩釜・切符売り場
参加費:300円+船賃別途(材料費、展示観覧券付)
定員:10名[要予約]
佐竹真紀子とともに、陸(おか)から島へ市営汽船で渡り、また島と島を渡船で行き来し島歩きをします。
※雨天の場合、翌週29日(日)に延期。
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