ARTIST
児玉靖枝 Yasue Kodama
- プロフィール
Profile
- 1980年代の精緻な静物画から90年代の抽象期、そして、90年代終盤以降の抽象と具象の境界を往還する絵画表現に至るまで、
児玉靖枝は一貫して、ものが存在することの本質を探り、またその反照として「いま、ここにいる自分」、そして自らと対象を
包む世界への眼差しをとらえようとしてきました。本展では、児玉が抽象的な絵画空間に外界のモチーフを再び取り入れ始めた
2000年前後の《ambient light》シリーズ、そして、およそ20年の時を経て再び転換期を迎えた作家の現在進行形のシリーズ
《asile - white splash》を取り上げます。前者は、絵具という物質による多層構造において、イメージ=光が闇に溶けてはまた
浮き出る、その明滅運動の最中に、不可知な存在の気配がもう一つの光となり、見る者の視線を奥へと誘う、児玉の代表的な
絵画世界の萌芽ともいえる作品群です。そして、嵐のために根こそぎ倒れた梅の大木が満開の花を咲かせる光景を描く後者
《asile - white splash》は、それまで絵具層の重なりの中に息づいていた光が前景へと溢れ出てくるかのような印象を抱かせます。
それは、内に秘めた生の本質を惜しげもなく表出させる植物の有様に対峙し、その剥き出しの存在の姿、すなわち「もう一つ
の光」に絵画行為を通して触れようとする、作家の揺るぎない態度表明とも捉えることができるでしょう。
- 受賞歴
Award
- 個展
Solo Exhibitions
- グループ展、その他
Group Exhibitions
- パブリックコレクション
Public Collection