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メグミオギタギャラリーにて、「板東優展」が2022年9月16日(金)から10月1日(土)まで開催されます。
板東は1972年から74年にかけて東京造形大学に在籍し、その後イタリアへ渡航、ローマアカデミア エミリオ・グレコ教室に在学しました。そしてイタリア、アメリカ、日本を拠点に芸術家として活躍し続けています。
板東は線描を通して、物がその空間にどう存在するかを認識する際、縦の線は「時間」を表すと考えています。これは歌川広重の雨の描写に見られるような、東洋的な視覚表現と言えます。数十年以上、毎朝外に出て、夜明けと共に自然がその輪郭を露にしていく様子を画面に描き留めてきた板東の姿は、日本美術に大いに影響を受け、刻々と変化する眼前の世界の一瞬を捉えようとした、印象主義画家のそれと重なります。
板東の作品は平面と立体、抽象と具象を自在に行き来しつつも、そこに在る魂の具現化という概念によって統一されています。こうして物質と空間の関係性、時間という概念、絶え間ない自然の有機性は、見事に作品に昇華されています。作品の根底には社会的な出来事や作家の関心事がありますが、普遍的な表現へと向かっていくことで、掴み所のないテーマであっても鑑賞者と共有することができます。
板東は1つの対象物に対しても膨大な量のドローイングを行い、繰り返された線からそこに内在する性質を模索、その過程は絵画や彫刻の制作につながっていきます。これは数多くの作品の中から良いものを選別するのではなく、全制作に費やされた時間の蓄積そのものを作品の本質と見なすことを意味しています。今展では1970年代を過ごしたローマから、ブルックリン、北海道の木野へと拠点を移して制作された人物画を中心に、立体の小品、ブロンズ、陶器などを展示致します。圧倒的な断片の集積から万物の真理に迫る、板東優展にご期待下さい。