イベント紹介Event Information
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OGU MAGにて、美術作家の岸本望、岡田萌による二人展「余熱、皮膚と気球」が8月25日(木)から9月4(日)まで開催されます。
岸本は、エアロゾルスプレーで街に描かれるグラフィティへの興味から出発し、落書き、壁、ドローイングといった言葉に注目して、その言葉の間を行き来しながら平面作品を中心に作品制作を行ってきました。本展示では、工事の跡や落書きなど、岸本が街を散歩する中で見つけ出した、人間が無意識に残した痕跡同士の重なり合いによって生まれる不思議なイメージからインスピレーションを得た作品群を展示します。
岡田は、金属に加工を加えることで生まれる表情をこよなく愛し、鉄やアルミを主な素材として扱い彫刻作品を制作してきました。岡田の彫刻作品は時として抽象的な形態をとり、時には鹿や犬といった動物の形態を取ります。岡田は日常生活の中で行う何気ない動作を執拗なまでに繰り返したり、友達から聞いた何でもない話からインスピレーションを得ることでそういった作品を制作します。今年に入り、岡田は生活環境の変化から自宅で制作を行うようになりました。そのため本展示の出展作品では、扱う素材も鉄やアルミだけではなく、作品の主題も岡田自身とより密接に関わる内容となっています。
作品制作の出発点も異なり、最終的な作品の形態も異なる両者ですが、本展示に際し対話を重ねる中で、2人の作品の根底を流れるキーワードとして余熱という言葉が出てきました。岸本は、作品制作の際に、街の至る所に残された人間の痕跡から、痕跡が残された瞬間の熱の残余を感じ取るイメージを持っています。それは、自分を取り巻く環境を成長し続ける生き物のように捉え、その表面つまり皮膚の、余熱で少し火照っている部分を感知するようでもあります。一方で、岡田は、仕事から家に帰る電車の中などを日常生活における余熱の部分と捉えており、作品制作のヒントが生まれるのはそういった時だと言います。また、そのヒントが浮かんでくる様子は気球が地上から空に向かって浮いていくようでもあり、それを掴むことで作品に落とし込むイメージを持っています。
余熱というキーワードを共有しつつも、皮膚と気球という異なるイメージを持ちながら制作を行う両者の作品が同じ空間に展示された時、どのように呼応するのでしょうか。