イベント紹介Event Information
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Take Ninagawaにて、笹本晃の個展を「浮き沈み浮き」が2022年7月16日から9月3日まで開催されます。
今展では、第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展で展示中の「Sink or Float」と併せて、新作のインスタレーション作品をご紹介いたします。
愛知、釜山 (韓国)、岡山での国際芸術祭を控えて、画廊では5年ぶりの新作展となります。
初日には作家を囲んでオープニング・レセプションを午後5時より行います。
皆様ぜひお誘い合わせの上、ご参加くださいませ。
口寂しくなるとすぐに手が伸びてしまうから、チョコレートは目に見えないところにしまっておこう。そう思って食べかけの板チョコを隠していたら、忘れた頃にあちらこちらから銀色の四角い塊が出てくるようになってしまった。クシャクシャの銀紙にチョコの溝や模様が型押しされて、開けずとも味が想像できてしまう。知らないうちにアトリエにできてしまったこの食べかけコレクションをみんな集めて、そのまま石膏と砂で覆い、ロストワックス製法でアルミニウムを流し込んだ。自分のストレスと共に鋳造してみたら、何かが浄化した気がする。
業務用のシンクに細かい穴を等間隔に開けた板を組み込んで、風を引き入れてエアフロートテーブルにする。工業用のカッティングテーブルのように板が浮く構造を作ってみたら、モノが個性ある動きで踊り出した。渦巻く構造が故、カタツムリはクルクルと回り出す。しかし羽根をあしらった殻は、殻のみの他とは逆に回転し、まるで世間に迎合しない性格を現しているようだ。スポンジはお互いに惹かれあって、飛んだり跳ねたり、戯れている。しかし時にキャップに乗って急に一人旅に出る。それぞれの動き方の傾向はあるけれど、どこに行くのか、何とぶつかるのか、は予測不能。なんとなく方向性はあるけれど、人生におけるタイミングは掴み所が無い。そして出会い(衝突)は唐突だ。シンクの中の小世界がそう言っているような気がする。
笹本晃