イベント紹介Event Information
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ギャルリー東京ユマニテにて、保坂航子「humanite bis」が2022年5月30日(月)から6月4日(土)まで開催されます。
〈作家コメント〉
私は長らく「彫刻」という表現手段に霊性を与えようとしてきた。具象・抽象を問わず、彫刻には表現されたものの価値を変換し、物質を超えた“何か”を体感させるスピリチュアルな造形要素がある。
私の表現しようというテーマには、貝殻、石ころ、植物や波に洗われて原形を失った漂流物等…、パンや米粒、穀物、光や影といった天気に纏わるものたち、音、季節等…が登場するがこれらは日々の生活の断片であり、細々としたものとして表現されている。そうかと思えば、自然の森羅万象や天変地夭を予期させるものまでテーマとして扱われている。これは、私の人生経験で得た自然観であり、無常である。自然のテーマに属するものたちは、海の波飛沫や水の流れ、生々流転、砂丘のイメージで巨大である。
《隕石》という作品は、作品を構成する岩石がもとは硬質な鉄の皮膜を被った一個の巨大な玉石であったことが起因している。この作品の制作に私は壮大な時間を要したが、作品を形作るために、巨大な岩石の周囲をぐるぐると旋回し、厚い皮膜を何層も剥がしながら造形したのだが、これは石彫を語るうえで特筆すべき点である。
「彫刻」は、断片的であるが寄せ集めて私の生きた証=日記になれば良い。初期には素描のイメージで取り組んだ写真作品と、発表に合わせて断続的に書いた文節の並び(詩)がある。近年は、詩的イメージから金属の彫刻に造形遊びを見出している。