イベント紹介Event Information
※新型コロナウイルス感染拡大による社会情勢に伴い、美術館およびギャラリー施設において休廊、休館、もしくは会期の変更をしている場合がございます。詳しくは、各施設サイトをご確認いただきますようお願い申し上げます。
メグミオギタギャラリーにて、岩月ユキノ個展「生活のうた」が2022年5月20日(金)から6月4日(土)まで開催されます。
全くの空想の世界や頭の中だけで考えた何か観念的な事柄などではなく、
日々の生活の手触りが感じられるようなもの。
自分が生きている手ごたえ。
そういうものを美しいと思うし、描きたいと思う。
- 岩月ユキノ
岩月は1998年に金沢美術工芸大学視覚デザイン科を卒業しました。その後は国内での個展の他、2019年には国際的な賞にて入選し、海外で作品が展示されるなど、精力的に活動を続けています。
見るという行為は、岩月の制作における重要な要素の一つです。ありふれた日常に魅せられた作家にとって、光や色、風景など眼前に広がる世界は、生の実感を伴う信頼の対象となります。そして見ることを突き詰め、生活の中の理念や理想を具現化しています。そこには慎ましい日々の中で育まれる、純然たる美の発見があります。作品に登場するのは架空の場所でありながら、所々現実も入り混じり、実際にこのような自給自足に近い生活を送ることが、作家にとって制作の柱となっています。
また岩月作品の特徴として、「均質性」が挙げられます。全ての対象物は光沢を抑えて柔らかに描かれ、パッチワークさながら幾何学的に組み合わされた色彩が、一様に均質な印象を与えます。写実性や劇的な対比、細部の描写などを極力排除することにより、主役不在の穏やかな日常や、全体の調和がより明示されています。これらは中心と周辺という概念に基づく西洋美術の伝統とは対照的であり、生物、無生物問わず平等に光を当てた、アニミズム的な表現と言えます。
今展では、とかく一般的に避けられがちな生活感を捉え直し、美しく尊いものとして意欲的な作品に昇華した、ペインティングやドローイングなど新作約15点を展示致します。