イベント紹介Event Information
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MA2Galleryにて、髙田 安規子・政子「Going down the rabbit hole」が5月21日(土)から6月25日(土)まで開催されます。
髙田安規子・政子が、モノのスケールにフォーカスして制作を始めたのは、日本の美大卒業後に留学したイギリスからである。多国籍な人種のるつぼ、価値観が多様であるロンドンの環境に身を置くことで、ふたりは日本で今まで当然と考えていたあらゆる基準に疑問を抱いた。人は自己の身体をひとつの基準として、ものの大きさを認識しているが、揺るぎないはずである基準があやふやになる時、なにを拠り所とするのか?またそもそも基準とは何か?と問い始める。一卵性の双子であるふたりは、互いの違いを尊重し合うことで、作品を俯瞰し、ふたりで仕上げていくスタイルをとる。どこにでもあるトランプが刺繍を施され絨毯になったり、軽石が洗面器の中で凱旋門としてそびえ立っていたりと、見慣れた日常風景やモノのスケールを操作することで、観るものに目の前の日常を揺るがせるような作品制作をしている。
二人にとって初めてとなるMA2Galleryでの個展『Going down the rabbit hole』は、以前から研究していた「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」をテーマに、このギャラリーの特徴でもある4層の空間をウサギ穴に見立て、アリスの旅としてのインスタレーションを展開する。
大きさやスタイルの異なる1.5cm~125cmの60脚の並べられた椅子により、「どのような状況下で、何が基準になり、何を選択するかはそれぞれ異なる」という多様性を表現した1階の『Outofscale』。アリスが12回も身体の大きさを変化させながら、自身のアイディテンティを確立していく物語に呼応している。
ウサギ穴に転がり落ちるアリスが体感する「時空の歪み」を、モノのスケールや時間と空間の法則から逸脱するような展開を試みた『Curiouser and Curiouser!』を2階に組み込む。そこには旅の目的地である庭園を模した箱庭的な空間が続くが、クイーンの横暴な振る舞いを意味する赤い刺繍のバラがひっそりと咲いている。それは現在の社会情勢が反映されている。
3階の『Relation of the parts to the whole』は極小の鏡から実寸の鏡へと、4階まで渡る壁面に放射状に配置される。「鏡の国のアリス」でもアリスはアイデンティティを幾度となく問われるが、1階のインスタレーションと響き合うように、鏡により断片として写し出される未完成の自画像が浮かび上がる。
4階はギャラリー壁面に書庫があることから、地質時代の化石や鉱物が嵌め込まれた本の積層を地層として配置し、地中深く落ちていくウサギ穴と、辿り着いた先にいる絶滅動物や奇妙な生物の異世界を表す。また「鏡の国のアリス」で時間を超越する表現が多用されることから、テーブルの上の具現化を表現している。
ギャラリー空間を横断し、4層で表現する髙田安規子・政子によるインスタレーションが、これまでの固定観念を揺るがしそして新しい視点となるよう、アリスと一緒に旅をしていただきたい。