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Maki Fine Artsにて、城田圭介の個展「Out of the frame」が3月26日(土)から4月24日(日)まで開催されます。
写真と絵画を組み合わせた作品を制作する城田圭介。2019年には茅ヶ崎市美術館で個展「写真はもとより PAINT, SEEING PHOTOS」が開催されました。Maki Fine Artsでは2回目の個展となる本展では、スナップ写真を用いて、その周囲に拡張するイメージを描き加えた新作を展示いたします。2003年頃より制作を開始した、代表的作品「A Sense of Distance」を基礎としていますが、新作は2つの写真が重なり合うズレを生み出したり、「余白(フレーム)を描く」ことで、見る行為そのものの不確実性を意識させながら、写真と絵画の複雑な関係性のあり方を示唆しています。是非ご高覧ください。
Out of the frame
一葉の写真、ひとつの画像をみつめながら、そのフレームには収まっていない別の可能性が頭を過る。
写真を撮る、シャッターを押すというのはひとつの選択だ。決定的瞬間を撮ろうなどと気構えずとも、あるいは退屈で凡庸な日常を撮るにしても、写真に残さないという選択を除けば画像を得るにはシャッターを押す他ない。
撮影行為はその巧拙にかかわらず、ある瞬間にあるフレーミングを選択することだが、それは裏返せば写真に撮られなかった、選択されなかった無数の瞬間とフレーミングを同時につくり出してしまうことと一体ではないか。ほとんど無尽蔵に撮影可能な今日のデジタル機器やスマートフォンを用いても、その思いは拭えないどころか益々増幅されているように思う。撮られた写真を見返す時間は、その選択からこぼれ落ちた異なる可能性に向き合う時間にも思えてくる。
撮られなかった別の選択肢、選ばれていたかもしれない別のフレーム。キャンバスの有限のフレームとも折り合いをつけながら、異なる可能性へのアクセスとして写真の周囲に絵筆を加えていく。写真に忠実であろうとすればするほど写真/身体、写真/絵画、記録/記憶などの落差は手触りを増す。いうまでもなく、描かれたフィールドも無数の選択肢から選ばれた一つの可能性に他ならない。
城田圭介