イベント紹介Event Information
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金澤水銀窟にて、髙木智広 個展「ー心臓を探してー」が12月4日(土)から 12月19日(日)まで開催されます。
「心臓を探して」
約4年ぶりの個展となるこの展覧会は、普段から旅先の店や蚤の市などで収集している古いもの、ガラクタたちを寄せ集め、アッサンブラージュ的な手法で組み上げ、手を加えた作品によるインスレーションとなります。画家として今までキャンバスの中に物語を構築して絵を描いてきたように、ギャラリー空間をキャンバスに見立て、作家自身の核となる心臓を探す物語を紡ぎ出します。
古いものが新たな命を与えられ、歩き出す様をご覧下さい。
髙木智広
ファンタズマゴリアと見事なリアリズムが魅力的に融合させてきた髙木智広。鑑賞者は、動物をイメージして描かれた登場人物たちの心の中にある想像を垣間見て、思わず自分自身の本質を考えてしまう。人間と野生動物の境界線はどこにあるのか、どれほど脆く繊細なのか。
髙木の世界観、パプアニューギニアに滞在し野生の自然と共生している先住民族から影響を受けて形成されました。西洋文化では、人の性格を様々な動物との類似性と結びつけて解釈する伝統は、古代のトーテム信仰にまでさかのぼります。古代の哲学者たちは、様々な動物に似た人間の性格の特性を詳細に記述しようとする最初の試みを行い、例えば、アリストテレスは『動物の歴史』の中で、いわゆる動物生理学(美術評論家ユルギス・バルトルサイティスの造語)に注目しています。古代人は、動物に作為はなく彼らの行動は自然であると推論したので、人々は彼らの本能に従うことによって、彼らの性質が一般的に認識されることとなりました。一方、人間は秘密主義であり、その隠された資質を理解するのは容易ではありません。しかし、人間は動物に似ていることから、魂を掘り下げることができます。この習慣は何世紀にもわたって変化してきましたが、今もなお東西の文化的文脈にしっかりと組み込まれています。
髙木の描く人間像は、単に動物に似ているのではなく、動物と人間という二つの本質から構成されているように見えます。
モデルとなる動物のイメージがそのキャラクターの特徴に応じて擬人化され、あるいはフォーカスされ、それらの肖像画は古代神話の生き物や神々に似ています。
髙木の写実的表現は、空想と現実の区別がつきにくい空間を作り出すことでその印象を強烈に鑑賞者に残します。登場人物あるいは動物たちは、ある種の記号化によって、主人公によって定められた行動様式を持っています。また、比喩的なイメージは登場人物の気質を明白にし、鑑賞者が髙木の繰り広げる物語と想像上の繋がりを持つことで、私たちは自分自身の潜在意識に深く入り込み、自分自身をより明確に理解することができるのではないでしょうか。(C)GALLERY G-77
今回はギャラリー空間をキャンバスに見立て、その独特の世界観をインスタレーションで表現します。進化する彼の写実的表現を是非ご高覧ください。
GALLERY KOGURE