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TARO NASUにて、松江泰治の新作個展「makietaTYO」が11月20日(土)から12月25日(土)まで開催されます。
マキエタとはポーランド語で模型やモデル、ジオラマをさす言葉である。
2016年ポーランド取材に出かけた松江泰治は、かの地で都市の大型模型を見て、あらためてその被写体としての可能性を感じたという。
2021年11月9日より東京都写真美術館にてはじまる松江の個展「マキエタCC」には、その後制作された大型模型の写真も展示されている。松江にとっては東京の公立美術館での初個展となるこの展覧会にあわせ、TARO NASUでは今回、東京の都市模型を被写体とする約20点の写真で構成される新作個展「makietaTYO」を開催する。
「撮影地」として選ばれたのは、1/1000のサイズに縮小された東京の巨大な都市模型(ジオラマ)である。
森ビル株式会社が制作し続けてきたこの「東京の模型」は港区を中心に都内13区の今が正確に再現されている。鑑賞者の身長が160cmであれば、上空約1600mの高さから眺める東京の姿が眼下に広がる設定となっており、撮影時の松江がしたように都市模型付設の台にのぼれば、さらに500m高い空からの眺めを体験できるという。風景を「地表の情報の集積」と捉え、独自の技術を駆使してその膨大な情報量を「地表の標本」として精緻な写真に再現してきた松江にとって、この細部に至るまで精巧に作りこまれた巨大模型は魅力的な被写体だった。
航空写真でしか撮影できないはずのスケールで、航空写真では不可能な高解像度の写真を撮影する。 ファインダー越しに捉えるのは、密集する住宅群や商店街とその間に埋め込まれたかのような細い路地や緑地、林立する高層ビルと周囲の高速道路、そして大きく東京を横切っていく鉄道網。 視座の高さゆえに本来は失われるはずの細かな情報までも、模型の撮影という手法によって精確に再現したいわばスケールとディテールの融合がそこにはある。松江作品でしか見ることのできない東京が、見るものをさらなる奥へ、巨大都市東京の心奥へと誘っていくのである。