イベント紹介Event Information
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MEMにて、4年前に急逝した坂上チユキ(1961-2017)の仕事を振り返る展覧会「坂上チユキ展|辺境にて」が11月4日(木) から28日(日)まで開催されます。
極細の筆で青を基調にした、微細な画面を構成する、水彩や顔彩のドローイングが坂上の代表作です。自身が書いた自叙伝には「5億9千万年前プレカンブリア紀の海に生を受けた」とあり、その後大気が形成された、シルル紀時代の鮮烈な空と海の青の記憶を描いているといいます。古代の生物や、神話に登場する動物や幻獣を描いたり、古今東西の文学や音楽などを引用したり、生涯愛した鳥類 - 始祖鳥や極楽鳥、また常に傍らに飼っていたインコたち - を主題にした作品も多く残されています。また、クリスチャンでもあり、聖書からの一節を作品の中核に据えることもありました。本展で展示をする「我等を試みに 引き賜わざれ」の一連のシリーズは、主祷文の一説から引用されたものです。「ひとつひとつ筆をおき描く行為が、祈る行為と重なり合っている」と、坂上はかつて語っていました。
本展では、いままで発表した「鳥の写本」、「陽性転移」等のシリーズから選抜した作品に加え、遺作になった油彩《辺境にて》を展示致します。