飯田竜太と田中義久からなるアーティストデュオとして2007年から作品を発表してきたNerholは、ポートレート、街路樹、動物、水など様々なモチーフを選びながらも一貫して、私たちが日常生活を過ごすときには見落としがちな有機物が孕む多層的な存在態を解き明かすことが試みてきた。また近年では、記録として残された歴史的映像なども作品の素材として選んでおり、そこでは、様々な歴史的な事象の時を跨いだ思いも寄らないような邂逅やほつれ、一人の人間の一生を超え出るような出来事において逆説的に立ち上がる個人の心象などが提示され、作品が伝える世界観はより多次元に渡るものとなっている。
飯田は、1981年静岡県に生まれ。2004年日本大学芸術学部美術学科彫刻コースを卒業、2014年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術専攻修了。現在は東京を拠点にしている。田中は、1980年静岡県生まれ。2004年武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科を卒業後、東京を拠点に活動を続ける。
近年の主な個展に、「釘がないので」(2018年、KASHIMA 2018 BEPPU ARTIST IN RESIDENCE,大分)、「Interview, Portrait, House and Room」(2017年、Youngeun Museum of Contemporary Art、韓国)、「Promenade」(2016年、金沢21世紀美術館)、「Index」(2015年、Foam Museum、アムステルダム)など。グループ展に「New Photographic Objects 写真と映像の物質性」(2020年、埼玉県立近代美術館)「VOCA展2020 現代美術の展望―新しい平面の作家たち」(VOCA賞受賞、2020年、上野の森美術館,東京)などがある。