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Gallery Seekにて、「中村祐子 日本画展 -宝相華-」が11月12日(金)から11月21日(日)まで開催されます。
日本には豊かな四季があり、身近な四季を彩る美しい草花や、そこに寄り添う小さな生命から、そのうつろいを感じることができます。中村祐子は、鎌倉時代の仏画の研究を通じて学んだ古典技法・截金や、日本画の伝統的な画材である金箔や雲母などを用い、光の輝きを画面に取り入れ、四季の中で息づく生命の輝きを、優しくあたたかな眼差しで描いています。 截金は伝統技法・截金、飛鳥時代に仏教とともに大陸より伝えられた後、鎌倉時代に最盛を迎え、多くの仏教美術に用いられ、独自の発展を遂げました。金属箔を何枚か焼き合わせ、厚みを持たせた後、竹刀で切り、筆端につけて貼るこの技法は、仏教美術の凋落や金泥の出現などで衰退して、その名称も忘れ去られていきました。その後重要無形文化財に認定された江里佐代子氏をはじめ、その技法を広めるため、茶道具や工芸品にも応用され、再び脚光を浴びている、数百年もの間変わらぬ技法です。 伝統的な花鳥画という画題に古典的な技法を用い、その中から新しい表現を追求し続けることで、植物や生き物という現実的なモチーフが、作品の中でうまく融合した世界を創り出します。 今回の個展では長年取り組んでいるテーマ「宝相華」をメインにご紹介いたします。宝相華とは、中国唐代や日本の奈良・平安時代頃、多く仏教において装飾的模様としてさかんに用いられました。截金が仏教美術で用いられる技法であることから発想して取り組んでおり、極楽に咲くとされる空想上の花と、現世の蝶が憧れ惹かれる様子を優美に表現する、古典と現代の感性を融合させた中村祐子ならではのシリーズです。