イベント紹介Event Information
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YOD Galleryでは、三名の作家によるグループ展、『Re: Examine』が10月30日(土)から11月20日(土)までの期間、開催されます。
本展では、日常に潜むあらゆる要素を『再検証 (re-examine)』するという共通項を持つ三名の作家を紹介する。彼女たちは、私たちが普段何気なく通り過ぎていくもの-いつも側にあるものの存在、輪郭、自分の体など、いわば『被膜』に覆い隠されたあらゆる対象に着目し、作品を生み出してきた。私たちが日常の中で、ふと何かを見つめ直した時、無意識に自覚していた事と現実とのギャップに錯覚を覚えることがあるが、3名の作品を通じて、そのような感覚を浮き彫りにしたい。
内田は、存在を自認するための行為でもある『描く』ことと『見る』ことにこだわり制作を続けることで、逆説的に自身の中に宿る他者性と向き合っている。「自身の体は借り物である」という考えから、自我と他者性とのせめぎ合いにより生じうる形や、周りの環境やその時々の身体の調子からなる無意識の営み、反射的な体の動きを、キャンバスに落とし込んでいる。
長谷川は、一貫して『植物』を題材とした絵画を描く。制作の際には民俗学や信仰、園芸史や植物学をリサーチし、発想源としている。時には鬱蒼とした森林、時にはネオンサインに妖しく照らし出された花など、多様な方法で植物を描くことで、人智を超えた存在が有する神秘性や恐ろしさ、その背景にある人為的介入を鑑賞者に思い起こさせる。
山縣は、自身の皮膚感覚による経験を制作テーマの基調としている。地図や皮膚といったモチーフを用いて、ものの表面に対する意識を、絵画のみならずインスタレーションなどさまざまな形式で作品へと転換している。自身や他者の手により、物に何気なく刻まれた線や、曖昧な身体感覚により生じる錯覚、直接触れることのできない生の現実に、新たな意味を付与している。
三名の異なるアプローチによって、日々移り変わる幻想や、我々が忘れてしまいがちなあらゆる事物と向き合う行為、目に見えない時の流れが具現化された作品を通じ、改めて『被膜』の奥にあるものを見つめ直すという行為に近づく。
この機会に、ぜひご高覧ください。