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資生堂ギャラリーにて、shiseido art egg(シセイドウアートエッグ)に入選した石原 海(いしはら うみ)、菅 実花(かん みか)、中島 伽耶子(なかしま かやこ)による個展が、9月14日(火)~12月19日(日)に開催されます。
いま、私たちが住む世界ではこれまでと異なる新しい日常が営まれています。不安定で流動的な日常を過ごす中で、人々の価値観も大きく変わりました。また、生活様式だけでなく、芸術・文化を取り巻く環境も大きな変化が生じています。こういう時代だからこそ、私たちは新しい現実を柔軟に受け入れながら、アートがはたせる役割を問い続けていきます。
資生堂ギャラリーは、1919年のオープン以来「新しい美の発見と創造」という活動理念のもと、アートによる美しい出会いや経験を人々に提供する活動を続けてきました。
shiseido art egg(シセイドウアートエッグ)は、2006年にスタートした公募プログラムで、瑞々しい新進アーティストによる「新しい美の発見と創造」を応援するものです。入選者は資生堂ギャラリーで開催される通常の企画展と同様に、担当キュレーターと話し合いを重ね、ともに展覧会を作り上げます。
第15回目となる本年度は、全国各地より243件の応募をいただきました。今回も資生堂ギャラリーの空間を活かした独創的なプランが多く提案されましたが、選考の結果、独自の視点から今日の世界の新しい価値観や美意識を表現する3名、石原 海(いしはら うみ)、菅 実花(かん みか)、中島 伽耶子(なかしま かやこ)が入選となりました。
入選者の個展を2021年9月14日(火)~12月19日(日)にかけて、それぞれ開催いたします。不確実・不安定と言われる時代だからこそ、真摯に現代社会に向き合い、生み出される作品は見るものに新たな気づきをもたらすことでしょう。本展覧会がよりよい社会を実現する一助になりましたら幸いです。
なお、今年度のshiseido art egg賞※の審査員には、今日のクリエイティブシーンで活躍するプロフェッショナルとして、金沢 健一(彫刻家)、小田原 のどか(彫刻家/評論家/出版社代表)、小林 エリカ(作家/マンガ家)の3氏をお迎えして審査を実施します。
※3名の入選作家の展覧会のなかから、資生堂ギャラリーの空間に果敢に挑み新しい価値の創造を最も感じさせた作品に贈られる賞。本年度は12月下旬頃に資生堂ギャラリー公式ウェブサイトで受賞者を発表予定。
■石原 海展
会期:2021年9月14日(火)~10月10日(日)
石原は、愛、ジェンダー、個人史と社会をテーマに、実験的な映画作品やヴィデオインスタレーションに取り組んでいます。現実の出来事を軸に、独自のセンスでフィクションや物語的な要素を加えて構築する作品は、現代社会の一面や心の機微を丁寧に捉えます。本展覧会では、北九州の教会に集う人々と行う演劇を通して、苦しみや生の意味を追求するとともに、インタビューを交差させることで、根源的な問いを提示する場となるでしょう。
<受賞コメント>
アタシの作っている映像作品は、色々な人の助けや協力があって成立するもので、たった一人きりで成り立つものではありません。制作を続けてこれたこと、いまも続けることが出来ている理由は、波乱万丈な旅を一緒に歩んできてくれた才能のある人たち、そして人生の中で何度も出会っては許されてきた友人たちのおかげです。その愛すべき人たちとこれからもこの奇妙な旅を続けてゆくためにも、資生堂ギャラリーという最高な場所での展覧会をがんばりたいと思います。
■菅 実花展
会期:2021年10月19日(火)~11月14日(日)
菅は、ヒューマノイドロボットや高度生殖医療など、テクノロジーの進歩によって変遷しつつある新たな身体感や生殖のあり方をテーマとし、写真・人形・映像などのメディアを用いて「人間とは何か」を問うています。視覚認識を揺さぶる作品は、近未来の価値観の変化を予感させ、鑑賞者に新たな世界を提示してくれるでしょう。
<受賞コメント>
このたびは展覧会の機会をいただき光栄です。コロナ禍という実際に人と会うことや、外出することが難しい状況において、何ができるだろうか、何をするべきだろうかと模索しています。私は人形という人間ではないものを写真に撮ることによって、レンズを通した世界の中でリアリティを探究してきました。それは単に本物/偽物や実像/虚像といった二項対立ではなく、それらが複雑に混ざりあった近未来の身体観を予測したものでした。私たちの生活や行動が変化することによって、想像していた未来は思ったよりも早く訪れるのかもしれません。
■中島 伽耶子展
会期:2021年11月23日(火・祝)~12月19日(日)
中島は、壁や境界線をモチーフとして人と場所との関わりについて問う作品を制作しています。本展では、ギャラリーを巨大な壁で分断し、鑑賞者の動きによって光と音のみが行き来する空間をつくります。何等かのサインとなり壁の反対側に送られる光や音は、受け取る側の状態によっては暴力的になるかもしれないし、希望となるかもしれません。実際に会うことなく容易に他者とつながることができる今の時代、コミュニケーションについて改めて考えさせられる展示となるでしょう。
<受賞コメント>
目標であった資生堂ギャラリーで展示できる機会をいただき、とても光栄に思います。この文章を書いている途中で、パートナーとの喧嘩が始まってしまいました。早く仲直りしたいのですが、簡単にはいかないかもしれません。自分と自分以外の対象との距離感は今回の作品のテーマでもあります。時代とともに価値観が開かれることで、私たちは多様さを知るチャンスを得ました。しかし同時に、無自覚に他者を傷つける場面も増えた気がします。資生堂ギャラリーが持つ場所の魅力を活かしながら、丁寧に作品を作りたいと思います。
■作家によるギャラリートーク
作家本人が会場で自作について解説するギャラリートークを、各展覧会開始後に資生堂ギャラリーHPで配信予定です。
※詳細は、
資生堂ギャラリー公式HPにてご案内します。 ※やむを得ない理由により、開催の延期・中止や予告なく内容が変更になる場合があります