イベント紹介Event Information
このたび、TEZUKAYAMA GALLERYでは7月2日より彫刻家、築山有城の個展「Exhibition 2021」を開催いたします。
1976年、兵庫県神戸市に生まれた築山は、2000年に京都造形芸術大学芸術学部美術科彫刻コースを卒業し、現在に至るまで出身地である神戸に拠点 を置き、関西を中心に精力的に活動をしている彫刻家です。
築山が扱う素材は金属や樹脂、木、塗料など多岐に渡りますが、制作の出発点は常に素材そのものにあります。彼自身が「遊び」と呼ぶ実験を繰り返す 中から素材固有の特性を捉え、それを作品主題の一部とする点において、築山の作品制作には一貫した姿勢が感じられます。また、作品を構成する要素 はシンプルでありながらも、一つのスタイルに固執せず、常に好奇心と柔軟な思考から作品制作へと繋げていきます。
轆轤(ろくろ)の回転を用いて、描画を試みた平面作品や総重量250kgの楠の木塊を手鋸で6分割にした彫刻作品など、築山が選択する素材や手法は 様々だが、ストイックなまでに素材と向き合いながら、途方も無い反復行為を繰り返す制作行為そのものが作品を形成するうえで重要な要素となってい ると言えます。
TEZUKAYAMA GALLERYでは2017年の個展を皮切りに、10年間に渡って築山有城の新作展を開催する「Exhibition Project」をスタートしました。同プロジェクトの5回目にあたる今展では、2017年の個展「Exhibition 2017」で発表した作品群”paint it flood”を制作する過程から着想を得たと語る新作の平面作品を中心に展示します。
どうぞ、この機会にご高覧下さいませ。
[アーティスト・ステートメント]
2017年に発表した”paint it flood”の制作過程で、パネルの際から滴り落ちる塗料の動きやリズムがおもしろいなと感じ、”score”はその時の印象が出発点となっています。
音もなく落下を繰り返しながら乾燥していく塗料は、氷柱のような造形をつくりだします。
なぜ塗料の流れをずっと眺めていられるのか?
規則的に、時には不規則的に塗料が落下するリズムやそれが積層して盛り上がっていくフォルムは作者にはコントロールできないことであり、できないところに魅力があります。
偶数か奇数か、サイコロの出目も同じようにコントロールできません。
しかしアンコントロールなものごとを繰り返して積み上げていくことで、それらは何か共通の景色や現象を見せてくれるような気がします。
自身ではコントロールできないものごとの流れ、作者が決めたことではなく自然に決まっていくこと。素材、道具、アイデア、空間、時間、私の身の回りには常に制作・発表に関するすべてが自然に揃っている状態であると言えます。
築山有城