イベント紹介Event Information
KANA KAWANISHI GALLERYは、2021年1月9日(土曜日)より片岡純也+岩竹理恵個展『物象詩?表出する内圧』を開催いたします。本展では、目の前の事象や情景を暫定的に捉えること、あるいは文脈を離れて事象や情景を観察して再現を試みることを「物象詩」と捉え、展覧会を構成いたします。
片岡純也+岩竹理恵は、2013年にパリでのレジデンスを機にアーティストユニットとして活動をはじめ、片岡の手掛けるキネティック作品と、岩竹の制作する平面作品とが相互に呼応する展示空間で、日常に潜むささやかな異和を顕現させる作品群を発表してまいりました。
片岡が手掛けるキネティック作品は、セロテープやマスクなど身の回りにある日用品の観察を起点とし、回転、重力、風力などのシンプルな物理的エネルギーを日用品に与えるなかで「予想通りのことが起きているのにそれ以上の何かが起きている」という状況をつくりだします。岩竹が手掛ける平面作品は、医学書や切手などの断片を組み合わせたコラージュ、写真、版画などの手法で、事象の類似や連想を扱い物語を紡ぎ出します。
本展『物象詩?表出する内圧』では、2020年の春以降、世界中のどこでもみられるようになったマスクや消毒アルコールをモチーフにしたキネティック作品や、昔の医学書の施術風景と絵葉書とを組み合わせたコラージュ作品などを発表いたします。マスクを着用した人の「マスクの下の口の動き」など、無意識に毎日行われているからこそ見過ごされる運動や、科学と霊的なものがはっきりと分かれていなかった時代ゆえあたかもマジシャンのように人体を扱う昔の医学書と、絵葉書に起用されるありふれた風景がざっくりと組み合わされることで、仰々しさとささやかさが同列に扱われる味わい深い眼差しを浮かび上がらせます。
先が見えづらく、世界中が不安に満ちている今だからこそ、ものごとを暫定的にみつめる彼らの視線は、私たちに新たな発見を与えてくれることでしょう。同じく2021年2月14日まで東京都現代美術館で開催されているグループ展『MOTアニュアル2020 透明な力たち』と合わせ、是非ご高覧いただけましたら幸いです。
アーティストステートメント
身の回りの物や身近な事から作品の着想を得ています。
それまで幾度となく見たり使っていた物や現象が何かの拍子におかしく感じてしまいます。
最近気になったことは人が笑ったときのマスクの動きです。
片岡純也+岩竹理恵