イベント紹介Event Information
19世紀後半から盛んになるジャポニスムは、欧米の芸術に大きな刺激を与え、モネやゴッホなどの創作の重要なインスピレーション源となりました。時を同じくして、黒田清輝をはじめとする日本人画学生がフランスへ留学し、彼らが現地で学んだ美術はその後の近代日本美術の礎となっていきました。大正期には、雑誌『白樺』を通じた日本人のゴッホ信仰、セザンヌやルノワールへの傾倒が強まるなど、異国への憧憬は芸術家たちの想像力をますますかき立てていったのです。
近代化の進む激動の時代、日本とフランスという2つの国は、新しい美の基準や感性を模索する上で互いに必要不可欠な存在だったといえます。本展は、大量のモノや情報、そして人の往来が可能となった時代に、双方の芸術が織りなした「美の往還」を、ポーラ美術館の西洋絵画および日本の洋画コレクションを軸に辿る試みです。
また、現代の私たちも度々経験する異文化に対する憧れや好奇心、幻想や「ずれ」にも着目します。こうした経験や感覚をテーマとして制作された、国際的に活躍する現代のアーティストの作品を通して、異文化理解の本質や魅力にも迫ります。