イベント紹介Event Information
この度、鎌倉画廊では寺田真由美の個展を開催いたします。寺田真由美の写真作品は、作家自らが制作するミニチュア模型の部屋やその窓辺などを自然光で撮影する手法で制作されます。「彫刻家が大理石を彫るように、光を彫刻するつもりで制作している」と作家本人が語るように、記憶から切り出されたミニチュアの空間にも、実際と同様に自然光が射し込み、陰影とともにそこには現実と虚構が織り交ぜられた不思議で柔らかな空間が存在しています。作家はこれを「不在という存在」と呼び、継続的に探求する制作の軸となってきました。
この「不在という存在」には、現在5つのサブタイトルによるシリーズがあります。ドールハウス 2001?2004 年、風景の選択 2004?2008年、見えない涯 2008?2011年、温湿 2012?2015、天視 2016?2020年制作。今展はそれぞれのシリーズからおよそ30点を選び、ミニチュアの立体も混じえてシリーズごとに展示致します。「時間は記憶を熟成させるものでもあると思う」とも述べる寺田の作品シリーズごと、時間軸に沿っての展示構成となっております。作品の中に揺れる寂しげで優しい風を感じ、分かち合っていただければ幸いです。鎌倉画廊では4年ぶり、2回目となる個展を是非ご高覧ください。